第2話 居候クール美少女が起きてくれないんだが
朝の日差しに照らされ床の上で目が覚めた俺。
隣のベットでは実川さんがまだぐっすりと眠っていた。
彼女の表情は幸せそうでいつもの無表情とは程遠いものだった。
俺は実川さんを起こさないようにそっとキッチンの方に行き朝ごはんの用意をする。
朝ごはんの用意といっても電子レンジでできるレトルトカレーなんだけど……。
温めたカレールーをご飯の乗った皿に盛りガラステーブルの上に置く。
準備ができたし冷めると良くないと思い実川さんを擦った。
「実川さん。カレー作ったから一緒に食べよ」
「むにゃむにゃ……綾瀬くん、おかわりぃー」
夢の中ではもう朝ごはんを食べてるみたいだな……。
なんかいつもクールな実川さんがこんなんだとイメージが崩れるなぁ。
「実川さんっ!学校遅刻してるよ、起きないと!」
「へっ!? 今日って何曜日?」
「おはよう実川さん。今日は日曜日です」
「騙したの? ひどいっ!」
「ごめんなさい。起きてくれないものだから……」
実川さんはほっぺを少しだけ膨らませ怒った顔をするんだけど全然怖くない。
多分学校での見る無表情の方が百万倍怖いだろう。
「あっ!私、カレー大好きなんだー。朝からってのには疑問なんだけど」
確かに朝からカレーというのは少し重たすぎるのかもしれない。
「いやぁ、レトルトカレーしか無くて……」
「まぁ美味しいし居候の私が贅沢言えないんだけどさっ!」
学校ではいつだって塩対応でいつも無表情の実川さんが家では沢山笑って沢山話してくれる。これは一体どういうことなんだ?
「んっ……? 綾瀬くんどうしたの。何か考え事?」
「いや、いつも学校ではクールなのになんで家に帰ったら別人のように明るいのかなって」
心配した様子で訊ねてきた実川さんに俺は正直な気持ちを話した。
隠し事ってのも得意じゃないし。
「それはまぁ、住まわせてもらってるのに愛想悪かったら良くないしね。それにこんな姿見せられるのも実は綾瀬くんだけなんだよ?」
「へっ!?――」
「すんごく顔赤いね。そういうところも好きだよ」
なんかむちゃくちゃからかわれたんだけど。
でも俺だけって、もしかして凄く信頼してくれてる? まさかな。
ニタ―と笑って俺の様子を見て楽しむ実川さん。でも悪い気はしない。
「そーいえば来週、私の実家でパーティーするんだけど来る?」
「えっ!? でもそれって俺が行ったら邪魔になるんじゃぁ……」
「大丈夫だよー。まぁ用事がないなら絶対参加だからね」
そう言ってから実川さんは最後の一口を食べ美味しそうに咀嚼した。
「お皿は私洗うから流し台に置いといてね」
「うん。ありがとう」
一瞬、恋人かっ!って突っ込みたくなるのを我慢し俺は頭を下げた。
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