幼馴染の肩書きなんかいらねえよ!【続】

水天使かくと

第1話 やっと涙…止まったな

俺とあいつは小さいころからの幼馴染…。


俺は幼馴染の前ではいいやつを気取っている…。


相談されれば真剣に向き合うし、頼まれたことはできるだけ叶えてやりたい…。


だけど本当は…

この長い片想いを終わらせたいとどこかで思っている…


「おつかれ!」


といって俺の背中を思いっきり押してくるこいつが幼馴染…。


「痛えな!何すんだよ!」


いつもこんな感じだ…

無邪気で誰にでも愛想よく男女関係なくつきあえる…そういうやつ…。


俺はこいつとは正反対の性格だ…。

だから余計に戸惑うしどう切り返したらいいかいつも考える…。


「ねぇねぇ!このあと何か用事ある?なければ一緒に映画いかない?みたいやつあるんだぁ…。」


「お前彼氏は?映画は彼氏といくもんだろ?」


「あー…彼氏はちょっと用事で…。」


「じゃあ友達は?いつもつるんでるやつらはどうした?」


「あー…それもみんな用事で…。」


幼馴染は苦笑いをしている。

なんなんだよ…もう…。


「それで俺が最後の頼みの綱ってやつ?

まっいいけどな…。」


「やった!じゃあいこいこ!」


とくったくのない笑顔で俺の腕をぐいぐいひっぱっていく!

お前はいつも俺を都合のいい時だけ使うのな!


俺とあいつが映画か…。

いつかそうなれたらって考えてたことが現実になる… 。


お前はただの幼馴染として見ているだけだけどな…


映画がおわり俺たちは映画館を後にする。


「面白かったな! この後どうする?」


「私に任せて!どうせわかんないでしょ?」


となんだか1人楽しそうだ。


「なんか慣れてんなぁ…こういうの…。」



お前は彼氏といつもこんなふうにしているんだな …


俺の頭の中はいつもお前のことでいっぱいだってのに…


俺はあちこち連れ回された!

普通のカップルが普通にすることを…

ただ…俺にはむなしかったが…。


「おい!映画に食事にショッピングって…

これ…完全にデートじゃねえか!全部彼氏とすることだろう …。」


幼馴染がちょっと戸惑った顔で…


「そ、そうかな?たまにはいいんじゃない?こんなのも!」


「俺じゃ役不足なんじゃないか?」



彼女の歩いていた足が止まる …。



「なんだよ…急に立ち止まって…。」


幼馴染は真剣な顔で下を向いている。


「ほんと…わかんないんだね…私がどれほど…あんたのことを…。」


「お前…なに…いって…。」


俺は耳を疑った…。


こいつが俺を?うそだろ?


「私…ずっとこうやってあんたとデートができたらいいなって…思ってた…でもあんたはいつも…いつも…本気にしてくれなかった…。」



「ちょちょちょっと…まて…。でもお前…彼氏いるっつったろ?」



「あんなの全部うそ!あんたにやきもち焼いてほしくてついた…悲しい…うそ…。」


幼馴染は今にも泣きそう顔をしていた…。



じゃあ…今まで彼氏がいたことなんてなかったのかよ…そっか…良かった…。


「なんだよ…それ…。」


「彼氏ができたって…うそついちゃってからは…あんた…ますます私から遠ざかって行くようで…ほんと寂しかった…自分が悪いのにね…。」


「それよりそうだったら…なんで早く俺に言わないんだよ?じゃあ、こんなややこしいことにはならなかっただろ?」


幼馴染はさらに真剣な眼差しで…



「今のこの関係が壊れるのが怖かったの…

もし告白して…だめだったら…たぶん私…今までみたいにはできなさそうだから…。」


「はぁ…なんだよ…じゃあ俺の長年の我慢はなんだったんだよ…まったく…。」


「えっ?」


「えっ?て…なんだよ…俺だって…ずっと抑えてたんだからな!俺はお前がすることをいつも応援したかった…。でも男となれば別だ…自分を抑えて応援するふりをしながらいつも嫉妬してた…。」


「それって…。」


「そうだよ!俺もお前が好きなんだよ!たぶん…お前よりも前からな!だから…勇気だしてくれて…ありがとな…。」



我慢してた幼馴染が泣き出した…。


「泣くなって…おい…。」


「だって…だって…あんたがそんなことゆうからー!」


「あーもう!しゃーねぇーなぁ…。」



俺は幼馴染をだきよせ…深くキスをした…




「やっと涙…とまったな…。」


幼馴染は驚きまだ固まっている。



「俺の好きは…お前の好きとは比べもんになんねぇんだよ!ずっとお前をみてた…お前だけを…だからそろそろ…俺のものになってください…。」


幼馴染がそっとうなずき俺の胸に顔をうずめる。


「そっか…ありがとな!

じゃあ…また…デートのやり直しだな !」


「えっ!」


「これからは彼女としてのお前を…

ずっと…みていたいから…」



俺は彼女になったこいつを愛しくみつめていた…


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