2年目もパワハラ奮闘記(後編)
信頼する元ヤン先輩に助言を求めた結果。
アルバイトではなく社員の私が監査部にまた電話する流れに。
部外者なのに。
でも賢い先輩が言うんだからそれがベターなんだろう。
およそ1年半ぶりの監査部との通話。
今回は当事者ではないので幾分気が楽だ。
電話口の担当者に、元新人バイトから聞いた顛末を伝える。
監査部員「アノ店???アノ店って前にもなんかあったよね」
私「・・・前回も電話したのもボクです」
監「・・・え?」
私「なんかスミマセン」
監「またキミなの?(苦笑)」
監「なんでアノ店ってこんなに変なこと続くのかねえ。幹部みんな入れ替わったのに。って君に聞いても分からないか」
前回と同様、信頼できるスタッフの出勤日に調査を入れてもらえることになった。
これで今回の私の仕事は終わり。
あとは野となれ山となれだ。
翌日。
休日なのに自店から着信があった。
電話に出た瞬間、ケータイから怒号が飛び出した。
「💢💢お前またやったのか!!💢💢」
怒声の主は私のエリア管轄、ブロック長だった。
何のミスを怒られているんだ?
思い当たる節が多すぎるぞ。
「お前またチクっただろ💢」
・・・またバレた!!!?
監査部どうなってんだよ。
その翌日。
出社した私の元に、元ヤン先輩が駆け寄ってきた。
元ヤン「ごめんな!お前に電話かけさせたことブロック長に一応報告した!」
いやいやいやいやいや、先輩何してくれてんすか。
監査部以外からもバレるのかよ。
見計らったようにブロック長から入電。
「💢💢お前のせいでとんでもないことになったぞ!!💢💢」
曰く、アノ店での監査部による聴取で重大な事案が発覚したとのこと。
それは麻雀。
これには業界の事情が関係あって。
パチンコとは、(実態はともかく)建前上ギャンブルではないことになっている。
だからこそ賭博に繋がるものは社内で厳しく禁じられていた。
その禁忌の麻雀とイジメが絡んでいたことで前回よりも大事になったようだ。
アノ店の麻雀に関わった人間はみんな処分されたという。
ブロック長は、自分が仲良かった人が処分されて憤慨しているらしい。
知らんがな。
更に数日後。
またブロック長から電話。
「💀💀核爆弾級にヤバイぞ💀💀」
今回は妙にテンションが低い。
アノ店の麻雀に参加していたB店の人間の証言により、B店主催の麻雀参加者も巻き添えで処分されたそうだ。
更に、B店の麻雀には過去にC店D店の人間が参加しており、C店D店の麻雀にはE店F店G店の人間達が...。
芋づる式に広がる麻雀処分の波は、全国の社員に広がりそうな勢いになってきているとのこと。
話の規模デカっ。
“でもこれ私が悪いんですか?”
“そもそも前回の件で人事部長が仰った通り、上長に相談した結果なんですよ?”
ブロック長に言い返しかけたが止めた。
ブロック長は全部分かった上で私を非難していた。
何故なら、元ヤン先輩が元ヤンだから。
彼に強く言えない分、私に怒りを向けるしかないんだと思うことにした。
2年間楽しかったのになー。
この後も事態は転がっていく。
しかしすぐに私とは関係なくなった。
更に別の大事件がきっかけで我慢の限界を迎え、私は退職したから。
大事件のことはまた別の話。
後日談。
何年か後に元同僚から話を聞けた。
麻雀大騒動は結局、全国の社員にまで手が及ぶ前に打ち切られたらしい。
だが時既に遅し。
主要な地方の幹部達を軒並み処分しまい、指揮系統がめちゃくちゃになった。
それを埋め合わせようと仕組みを変えた結果、会社全体が歪んでしまったそうだ。
更に余談。
この騒動の責任を取り、一人の役職者が会社を去った。
1年前のイジメ告発の時に監査部からの情報を部下達に流した張本人。
アノ部長である。
イジメの首謀者だった幹部Aは降格&左遷→異動先でトラブって退職。
密告者である私を暴露した部長は引責辞任。
そんなつもりも能力もなかった私だが。
結果的に《倍返し》が出来てしまっていた。
《教訓》
・社会人のイジメは苛烈
・会社は個人を守ってくれない
・個人を守ってくれる優しい個人はきっといる
・大企業でも電話一本で傾くことがある
・正義は意外と勝つ
最後に
長々お付き合いありがとうございました。
何かの参考になれば幸いです。
もし仕事で苦しんでいる人がいたら、とりあえず声を上げてみるといいですよ。
命を削ってまで踏ん張らないで下さい。
あなたが生きる為に仕事はあります。
【パチンコ屋のパワハラ奮闘記 完】
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