自称有能プログラマーのワイ、ブラック上司から無能認定されクビを宣告されるもノーダメージ。家に帰れば巨乳美少女JKが全肯定してくれます!!
みんなそれぞれ隠してることとかがあるけど、話すと楽になることもある。
みんなそれぞれ隠してることとかがあるけど、話すと楽になることもある。
キーンコーンカーンコーン
甲高いチャイムの音に合わせて学生達は席に着く。といっても、車椅子の者から老人、金髪にピアスといった青年まで様々だ。
「今日は事前に言っていた小テストを行います。ペンだけ出してー。」
テスト、と聞いて悠の顔がこわばった。それなりに勉強はしてきたつもりだが、自信はない。
軽く辺りを見回してみれば、皆一様に俯いて似たような顔をしている。あらかじめ聞かされていたとはいえ、不安や緊張は抜けないのだろう。
教師の合図で一斉にペンを動かし始めた。
時計の針の音と無機質な筆記音だけが教室を支配して、厳かな雰囲気が広がる。
しばらくして、再びチャイムが鳴り響いたかと思うと、学生たちに一気に弛緩した空気が流れた。
「悠ちゃん。どうだった?」
「普通かな…。思ったより出来たかなって気はするけど。」
ペンを回しながら隣の席の光が声を掛けてくる。
「私さ、たぶん結構いい点数だと思うんだよね。」
「へーそうなんだ。勉強したの?」
「うん。ちょっとね。」
可愛らしくウインクを飛ばしながら荷物をカバンにしまい始めた。すでに三時間を受けた後のテストであり、今日は午前中で授業が終わるため帰るのだ。
光の帰り支度を眺めながら悠も帰ろうとカバンを持ち上げる。
「ねー。甘いものとか好き?別な高校の友達が進めてくれたケーキ屋さんがあってさ。一緒に行かない?」
「うん。いいよ。」
量が帰るのは今日も遅くなるのだろう。
わざわざ自分のためだけに昼食を作るのは面倒だと考えて、外食で済ませてしまう。幸い、お小遣いということでそれなりにお金は貰っていた。…ほとんど使ってこなかったが。
スマホのナビを頼りにケーキ屋へ向かうと、それは昨日量と悠が買ったスイーツ店の系列店舗だった。2日連続で甘い物を食べることに一抹の不安を抱きながらも、キラキラと宝石のように輝くチーズケーキには抗えない。
「うん。美味しい!!」
「ほんとだ。あ、ちょっとゴメンね。」
光はモンブランを頬張りながら片手でスマホを操作する。思わず気になって見つめていると、視線に気づいた光が気まずそうに苦笑いを浮かべた。
「私さ、実は仕事してるんだよね。」
「そうなの!?」
「うん。プログラミングとかやってて…。今は教えてくれた人からお仕事回してもらってる感じ。」
言われてみれば、彼女の手提げかばんの中にはノートパソコンが入っている。量がIT関係の仕事をしているというのは知っていたが、身近な同級生がやっているというのは驚きだった。
「学校と仕事の両立ってやっぱり大変?」
「まあね。でも、別にお金に困ってるってわけじゃないんだ。ただ、私はプログラミングに出会って変われたから。あと、私にプログラミング教えてくれた師匠的な人のおかげ。」
ノートパソコンの入ったカバンを撫でながら少し目を伏せて言う。
カップに入ったドリンクを飲んで「美味しいね。」と呟く彼女は、心の底から今を楽しんでいるようだった。その様が少し羨ましくもある。
「そろそろ帰ろうか。」
「うん。ケーキ美味しかったね。また来ようよ。」
「いいね!!今度はこの店教えてくれた友達も連れてきていい?」
「もちろん。」
店を出て道を歩きながら、ふと師匠という人物について聞いてみる。
「光ちゃんにプログラミング教えた人ってどんな人?」
「実際に会ったことはないんだけどね。ネットの掲示板みたいなので話して…。そこでいろいろ教えてくれたの。自称中二病の陰キャって言ってたけど、面白い人だったな。」
悠の頭の中でとある人物が浮かび上がるが、あえて光には告げず、量に聞いてみようと考えた。
その夜…。
軽いノックの音が鳴って悠が量の部屋に入る。何か作業をしていたようで慌てた様子でパソコンの画面を落とした。
「あ、すみません。」
「いや大丈夫だ。」
仕事の関係でみられてはいけないものがいくつかあるという。といっても、平気な顔をして彼女を部屋に招くものだからつい忘れてしまっていた。
光のことを話そうかとも思ったが、そもそも量や白鯨の仕事内容についても詳しくない。IT関係と一口に言っても多岐にわたるというのを聞かされている分、なんとなく聞きにくかった。
「は、量さんてどんなお仕事してるんですか?」
「ん?いまさらだな…。まあ、普通にプログラマーだよ。普通はやらないような仕事まで押し付けられてるけどな。」
遠い目をしながら言った。それだけ辛いのだろう。
「ちょっと見てみるか?プログラミングとか興味あれば教えるし。」
「ああ、じゃあ少しだけ。」
「そうか。ま、機会があって人に教えるのは慣れてるんだ。今日は遅いからまた今度だな。」
キーボードをカタカタと鳴らして明かりのついた画面には、色とりどりに着色された英語と、そこから伸ばされた矢印があり、その根元にはおかしな言葉がつづられている。怪訝な顔をして見つめていると、量は照れたように笑った。
「あはは。文字だとつい厨二時代に戻っちゃうんだよな。特にネット上のやり取りとかな。」
「……ゲームの名前が『虹の天秤』っていうのは、そのせいですか?」
悠の何気ない問いに、顔を真っ赤にしてうなづいた。
前に由来を聞いた時ははぐらかされてしまったが、言い逃れが出来ないこの状況では黙って肯定せざるを得なかったようだ。
くすくすと笑いながらいつの間にか本題を忘れてしまっていた。
……to be continued
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