第2話 幸運の神



 人の好奇心は面白い。


 まさか、「面白そう」という感情だけで、この我の居場所を突き止めるとは。


 歴史、伝承、昔話。


 我の存在をにおわすものには、様々な暗号を付与したというのにな。


 ああ、そうまでして我に会いにきたならば、その好奇心がどこまで育つのか見て見たくなるのが普通だろう?


 そら、腐っていく。


 与えれば、与えるほど調子づく人間。


 その様はなんと滑稽だろうか。


 踊らされているとも知らず、気づかず。


 借りものの力を、自分の力のようにふるう。


 なんと傲慢な。


 だが、だからこそ面白い。


 人が腐っていくさまは、なぜこんなにも我をひきつけるのだろうな。


 さてはて、我が与えた幸運の力には対価がいるぞ。


 その反動にいつ気が付くかな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る