第81話:家臣への叙勲
皇紀2223年・王歴227年・早春・ロスリン城
「長年の忠勤と軍功を賞して従属爵位を与える。
最初にダンボイン男爵アイザック卿、前へ」
「ハッ」
「卿の忠勤と軍功はこの国にあまねく知られるほどのものであり、それを賞しないのは我が恥であり、他家からの策謀を誘引する元凶になる。
よって、ダンボイン王国男爵からハーバートン王国子爵に陞爵させる。
「ありがたき幸せでございます。
これからもハーバートン王国子爵に恥じぬ忠誠を捧げさせていただきます」
「次にトーマス」
「ハッ」
「貴君とダンセイニ王国男爵ローガン卿の忠勤と軍功は国中に鳴り響いている。
本来ならば子爵封じるところであるが、残念ながら与えられる子爵位がない。
よって、ダンセイニ王国男爵に加えてバーンウェル王国男爵に叙爵する」
「ありがたき幸せでございます。
我が一族はこれからもダンセイニ王国男爵とバーンウェル王国男爵に恥じぬ忠誠を捧げさせていただきます」
俺はこの後で四人の叔父と四人の譜代家臣に男爵を授けた。
四人の叔父は邪な事を考える事なく、子供とも言っていい年下の俺に仕えてくれ、命懸けて戦い続けてくれてきた。
それに報いるには、騎士位だけでは不足だ。
突出した魔力や知力があるわけではないが、とても手堅い指揮をしてくれる。
魔力不足は魔晶石で補い、攻撃力不足は魔法陣で補える。
俺に必要なのは忠誠心があって手堅い指揮をしてくれる家臣なのだ。
譜代の者達は代々我が家に忠誠を捧げてくれた者達だ。
だが、幾ら代々仕えてくれているとはいえ、年下の俺を舐める奴はいらない。
主家のためだと自分すら偽り、自分に都合のいい主家の者を担い上げ、内部抗争を勃発させるような者は、闇から闇に葬るしかない。
今回男爵に叙爵させた四人は、叔父達よりも才覚があり、忠誠心も合格点を与えられる者達だ。
俺の目の届かない海上や異国で活躍する者は、特に才覚と忠誠心が求められる。
敵に寝返る事はもちろん、交易で主家に損をさせてでも自分が利を得ようとするような者には、大役を与えられない。
今回海軍提督として男爵位を与えた者達は、安心して俺の名代を任せられる。
だが、他国との交易や外交交渉では、男爵家の家宰や家老だと言っても相手にしない所もあるので、叔父の内二人には海軍に移籍してもらいたいと思っている。
忠誠と軍功には名誉と利を与えなければ人はついて来ない。
幸い従属爵位を手に入れられたから、家臣を叙爵させる事ができた。
だがこのような事はもう二度とないだろう。
今後俺が与えられる名誉は、貴族が普通に与えられる騎士位だけになる。
ここは三国志やラノベであるような称号を作った方がいいかもしれない。
五虎大将軍だとか、九龍将軍だとか、五家宝連だとか、二十四翼将だとか。
「エレンバラ家の所有する爵位」(皇紀2223年・王歴227年・早春)
エレンバラ皇国侯爵 :ハリー
エレンバラ皇国子爵 :ハリー
エレンバラ王国侯爵 :ハリー
ロスリン王国伯爵 :ハリー
エレンバラ王国男爵 :ハリー
ディグビー王国男爵 :オリヴァー(譜代・エジンバラ男爵家軍を副将格)
カーベリー王国男爵 :ジャクソン(エジンバラ男爵家軍を戦隊指令)
エヴァンズ王国男爵 :フランキー(戦隊指令から海軍提督に)
ダンセイニ王国男爵 :ローガン(大叔父)
ダンボイン王国男爵 :ハーヴィー(戦隊指令から海軍提督に)
「新たに得られた従属爵位」
王国宰相代理
ランファーリ王国伯爵:
ハーバートン王国子爵:アイザック(エジンバラ影衆頭領)
バーンウェル王国男爵:トーマス(従叔父・大叔父の嫡男)
オブライエン王国男爵:ジャック(叔父亡父の長弟)
インチクィン王国男爵:フレディ(叔父亡父の次弟)
ファーンハム王国男爵:オスカー(叔父亡父の三弟)
マクスウェル王国男爵:アーチー(叔父亡父の四弟)
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