嫉妬

焼き鳥を口にする彼を見る。


白い歯が立てられ、串が引き抜かれて、咀嚼され飲み込まれ、喉仏が上下する。赤い舌が唇に着いた脂を舐めとって消えていく。


釣り上がる口角さえどこか扇情的で、私の事を食べてくれればいいのになんて意味の無い嫉妬をした。


だからせめて、その唇に噛み付くように自分のものを重ねて、私の口紅でその唇を彩った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る