脱走

枯れ枝の様な手足のあの子を抱えて町を抜け出す。


早く、速く。少しでも遠くへ。


寝ている間だけ電気が出る体質のせいで、薬で眠らされ続け、死なない程度に生かされ続けていた。


誰も追いつかないように。


やっと連れ出してあげられた。こんな弱りきったから回復するのかなんて分からない。


誰にも捕まらないように。


それでも、前に目が覚めた時に「助けて」と言われたから。「死にたい」ではなく「助けて」と。


この子の望みが少しでも叶う場所へ。

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