三題噺
@skysound98
友
自分を貫く槍の穂先がやけにゆっくり見えた。
何時からだっただろう。
騎士なんてものはお綺麗な家に生まれたお綺麗な仕事なんだと気づいたのは。
汚い路地裏を這い回る汚い自分には到底叶わぬ夢なんだと気づいたのは。
今更#過__よ__#ぎるのは、幼い頃の名前も知らない友達との約束。
一緒に騎士になろうだなんて身の程知らずにも程がある。
こちらに必殺の槍を突き出した騎士は、いつか見たような金髪をしていて。
一騎当千と謳われた騎士様が悪党1人殺すのになんて顔してやがる。
胸への衝撃に1拍置いて込み上げた血を吐き出した。視界の端に既に事切れた仲間が見える。指名手配されたのは自分だけだってのに義理堅く残りやがって、馬鹿なヤツらばっかりだ。
結局自分には傭兵崩れの盗賊頭が関の山だった。それでも、仲間には恵まれた。そして最後にアイツの手柄になるのなら。
どうしようもない人生だったが
最後がコレなら
存外
悪くもない。
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