第43話アルネリアと、別れ
大陸歴2年
アエリア、ランスロット夫婦に待望の第一子が誕生した
名はアルネリア
玉のような女児である
流石のアエリアも、出産は、こたえたと見えて暫くゆっくりと休んでいた
「それでマトラ、最近の進捗はどうなってる?」
アエリアは赤ん坊をあやしながら、マトラから報告を聞く
ちなみにランスロットは今、アエリアの代わりに、イシェスにて反乱軍と交戦中である
「はい、ノーチェスとウェスコーの完全な併合が完了しました。ウェスコーで反乱を起こしかけていた者達は私とマリアさんで既に制圧済みです。あそこの第二王子もよくやってるとは思うんですが……」
「まあ第一王子だったギィル、あと第三王子のラールが完全に武闘派だったからな…慕っていた者達もそれなりに武闘派だろう、反乱はあると思っていたがやはり多いな」
「ですね、こればかりは仕方ないかと。イシェスのイスカルテさんとこも反乱が多いですが、あそこもまあ予想通りです……」
「ランスロットが行くと言っていたとおもうが……」
そうアエリアが言うと
「ナターシャ様も行ってますよ…ちなみにランスロットさんはナターシャ様が皆殺しにしないように必死に止めているみたいですが」
マトラはこめかみを抑えながら嘆息する
「おお、アルネリアのおばあちゃんは恐ろしいな。君はあの様になってはいけないよ」
「ああいー」
わかったとアエリアには聞こえたのか
「賢いなアルネリア、今のがわかったのか?」
腕の中で、小さなアルネリアが両手を伸ばしている
「アルネリア様はお母さまにもおばあ様にも似てはいけませんよ」
「どういう意味かねマトラ」
「そのままの意味ですよ…」
「じゃあ誰に似ろと?そうは言っても、私の周りには似たような人間しかいないのだが?」
「せめて…エリーシュ様ですかね…」
エリーシュは実はライとの婚約を解消した
そもそもなのであるが、あの二人仲は良いのだが姉弟みたいな感じになってしまっていたのだ。当時の王の勅命があったから婚約者としていたが
今の王はアエリアである
そして、その勅命はエリーシュのお願いによって取り消された
まぁそうだよなぁとアエリアは納得した。マリアの記憶を思い出したエリーシュにとって、ライはとても恋愛対象には見えないだろうなと
そもそも自由恋愛を重んじていたマリアである。確か当時は私が存命中には結婚はしなかったと思ったのだがどうなんだろうか、今度会った時にでも聞いてみようと思う
ちなみにナターシャ=カーネリアは当時結婚していた
まだ戦中だった。戦場で挙げた結婚式はなかなかのものだったな
ふふふと思い出して笑っていると、手元のアルネリアも笑う
誰に似るとかはどうでもいい、健やかに育ってくれればそれでいい
「それでは、私の仕事はひとまず落ち着いたのでそろそろ行こうと思います」
「ああ、了解した。ラライラも連れて行くんだろ?」
「んーどうですかね。着いて来るなら連れて行きますが」
「そりゃあついて来るだろうさ。マトラが行くんだからな」
「はい」
実はマトラはエズラの元へ修行に行くという
先んじてアエリアが手紙を送り、良い返事をもらっていた
精霊系の魔法を修行するらしい
確かに、400年前と違い、この時代にはさほど精霊魔法は有名ではない。それは精霊魔法を広めていたエルフ達が居なくなってしまったためだ
多少は残っているし、精霊が見える者も居る
だが、それは精霊魔法が使用できることとは関係なくなっていた
そして正しく伝える者が居ないこの精霊魔法であるが、そもそもエルフに問えば教えてくれるモノだ
先を見据えているマトラは、エズラを再び訪ね、習得しようとしている
それはあの時、エズラに会った時に才があると言われたからである
だからマトラは行こうと決心し、アエリアに伝えたところその縁をとってくれたというわけだった
「じゃあ向こうに着いたらよろしくな。もう儀式は終わっているだろうから私も暇が出来たら行こう、ナターシャとエリーシュも一緒にな」
「はい、それではお世話になりました」
深々と頭を下げる
今、マトラとラライラの目的地は南のノーチェスだ。
そしてそこはアエリアとおなじ場所
「まぁまた会うことがある。それに南に行くのに役立つだろうと言ったのは私だからな」
「ええ」
「では、達者で」
マトラとラライラが王宮を出ていくとき、アエリアは少しだけ寂しいと感じた
それはここ数年であるが行動を共にした仲間であったからである
「行かれましたか」
ふと、後ろから声がして振り向くとそこにエリーシュが居た
「ああ、まぁ会えなくなるわけではないがな…便利な手ごまが居なくなるのは寂しいものだ」
「なんと、お姉さまは相変わらずこういう所は素直じゃないんですね」
「なんとでも言え」
「それにしてもエズラですか。私もそのうち会いたいですね」
「ああ…」
「聖石の事は教えてあげました?」
「いいや、教えてない。エズラ達エルフの秘儀みたいなものだからな、あれは」
「再現出来れば南のノーチェスへのゲートが開けますか?」
「うーん、無理じゃないか?さすがに距離がありすぎる、この大陸中であれば、魔力が詰まった聖石があれば可能だろうけどな」
「そうですか…険しい道のりなんですね」
アエリアの腕の中で、すやすやと眠るアルネリアを見ながら
「この子が大きくなる頃には、南の大陸へ行けるようになっているだろうか」
アエリアはそう呟いた
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作者より
申し訳ないです。昨夜寝落ちてました…
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