(三)-9

「二日市サムは、こちらの研究所に勤めているのでしょうか」

「うーん、居ると言えば居るのだけれども、居ないと言えば居ないのよねえ」

 鳥栖博士は困った顔をした。

「どういうことです? 研究者として勤務しているんですよね」

「それについては、研究室をご案内しますよ」

 田代さんが笑顔で言った。

 居るなら居ると言えばいいだけなのだが。表に出られない理由でもあるのか? VIPとか、不法滞在とか。存在を知られてはならない程の存在とか?

 全くわけがわからないまま、俺は二人に研究室まで連れて行かれることになった。


(続く)

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