第26話 夢
魔道具の効果によって転移されたルイシャ達はドサドサドサ! とダンジョンの入り口前に放り出されるように落ちる。
「いててて!!」
重なり合うように落下するジャッカルの三人。
そんな彼らに反してルイシャ達はしっかりと着地していた。
「……ふう、ようやっと出られたなあ。いくら銭が絡んでてもあんな狭くて暗いところはしばらく堪忍してほしいわぁ」
「そうね。流石の私ももう疲れたわ。早くシャワーを浴びてゆっくりしたいわ」
そう言う割には元気だよね……という言葉がルイシャの喉元まで出かかるがグッと堪える。
触らぬ神に祟りなし。ルイシャしっかりと学んでいた。
「うおおおおっっ!! そ、外だ!! 俺たち帰ってこれたんだ!!」
もう帰宅モードに入っていたルイシャ達をよそにジャッカルの三人は脱出出来た喜びに打ち震えていた。
「俺たち、俺たち本当に生きて帰ってこれたんですねリーダー!」
「うええええぇえぇん!! もう駄目かと思いましたー!!」
「ああ、よく頑張ったなお前達!! お前達は俺の誇りだぁ!!」
泣きながら抱き合う三人。
ゴーレムの戦いに参加してないので熱量についていけないシャロはその様子を冷めた目で見ていた。そんな中なぜかシオンは「ふふ、いい話だね……」と潤む目を指でこする。感性が
謎だ。
「どうやら僕の友達を助けてくれたみたいですね。ありがとございます」
アイリスから自分がいない間に何があったかを聞いたルイシャはジャッカルの三人に頭を下げて礼を言う。
正直彼らがそんなに役に立つとはルイシャも思っていなかった。しかし彼らは弱いながらも必死に戦い仲間を守ってくれた。
元々弱かったルイシャはそんな彼らのことを素直に凄いと思っていた。
「へへ、やめて下さいよ兄貴!」
ルイシャに褒められたマクスは照れ臭そうに鼻を擦りながら答える。
「礼を言うのは俺たちの方です。兄貴のおかげで俺たちは忘れてた夢を思い出すことが出来ました。もし今日の出会いがなければ俺たちは腐ったままでしたでしょう」
そう語るマクス達の目には確かに若き日に燃え盛っていた熱が込もっていた。
ダンジョンに入る前にはなかったものだ。
「だからありがとうございます。俺たちにまた夢を与えてくれて感謝します」
その言葉を聞いたルイシャは胸が熱くなる。
自分がうまくやれてるかは分からない。でも今目の前の人に大切なものを与えることができたんだ。
まだまだ師匠達のようには出来てはないと思うけど、この先もたくさんの人に同じようなことが出来ればいいと思うのだった。
「……ん? そういやお宝がないやんか!! なんのために入った思とんねん!!」
「はあ、台無しねあんた」
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