第2話
「ただいま戻りました」
「ベティ、お帰りなさい」
「お父様、お母様、私……」
ベティが話そうとすると、フローレス男爵は首を振った。
「もう話は、ヘザートン家から聞いている。こんなことをする男だとは思わなかった」
フローレス男爵は、イライラとした様子で腕を組んでいた。
「いえ、のんびりしている私が悪かったんです」
ベティはうなだれて、呟くように言った。
「ところでベティ、クライド・コールマン様はご存じ?」
ベティの母親が笑顔で言った。
「お茶会で、お名前を伺ったことがある程度ですが」
ベティは首をかしげた。
「実は、お父様とコールマン子爵が意気投合しているの。今度、コールマン家でお茶会を開くので、ぜひベティに来て欲しいとお話があったらしいわ」
「まあ。でも私、まだ心が乱れたままですわ」
ベティの様子を見て、母親は言った。
「お茶会は来週ですから、今週末くらいまでにはお返事をしないと」
母親の言葉に、ベティは答えた。
「私のような、退屈な人間でよいのかしら? それに、クライド様は冷淡だと聞いておりますわ」
母親はそれを聞いて、首を振った。
「噂を簡単に信じてはいけませんわ。実際にお会いして、お話をすればわかり合えることもありますよ」
「はい、お母様」
ベティはそれだけ言うと、自分の部屋に戻っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます