第38話 あっ、トゲ付き肩パット忘れてるよ!
『デッドリースローライフ』――それはこれから起こる未来でのお話。
謎の
後に【
そして、それを皮切りに、人類の生存圏は
だが、それは考える力や心までをも奪って行く。
最後には自我も失われ、世界は
それから、約三十年の月日が経った世界――
物語はそこから始まる。
主人公は僕――高校生の青年・
妹は火炎瓶を使い、
そんな彼女に対し、僕はまだ一匹も始末した事がない。
高校生にもなって、これではいけない――いけないのは分かっているのだが……。
「ヒャッハー、兄貴! そんなんじゃ、
どうにも、このノリにはついて行けそうにない。
「いいだろ……別に――じゃあ、僕は学校に行くよ」
「うん、頑張ってね、兄貴!」
と無邪気に妹は僕を送り出してくれる。
そして同時に、落ち
「きちんと勉強して、立派なヒャッハーになって……二人で生き残ろうね!」
「ヒャッハーになんてならないよ」
僕はそう言って、溜息を
こんな世界に生きていても、仕方がないと思う。
だけれど――妹のその言葉に、僕は生かされているのだ。
「もうっ、そんな事言わないで……あっ、トゲ付き肩パット忘れてるよ!」
「ああ、ありがとう」
おっと、忘れるところだった。
この御時世、トゲ付き肩パットは必需品だ。
優秀なレッドモヒカンの妹に比べ、僕の見た目は
このトゲ付き肩パットを装備せずに学校へ行こうモノなら――
『
と生活指導を受けてしまうだろう。
皆、日々を生きるために必死なのだ。
奴らの放つ【
過去の文献では――ゾンビに
奴らに対し、メンチを切るくらい出来ないと、
また、当たり前に行われているのだが、
多くの
まさに
そしてこの日、僕は彼女と出会った。
こんな世界であっても、人として生きる事に絶望していない少女達だ。
さあ――私達の
そう言われ、僕は
▼▲▼ ▼▲▼
――という
わたしはトーヤ少年に、今日観る予定だった映画の説明をする。
残念ながらR指定のため、今回は見送りだ。
今は玄関先で二人仲良く、ヒナタちゃんが来るのを待っていた。
彼女は素直な性格のためか、サヤちゃんとリムの影響を受けている。
そのため、コーディネートが舞踏会へ行く恰好になっていた。
わたしは普通の衣装に着替えて
(似合ってない訳じゃないんだけどね……)
――
「本当にそれ、面白いのか?」
そう言って疑問符を浮かべるのは、トーヤ少年だ。
どうして皆、わたしが説明すると似たような反応をするのだろうか?
「ゾンビが出て来る話は一定の需要があるモノよ!」
そこに美少女が出るのなら、人気が出るのは必然ね――と力説した後、
「まぁ、実はアニメの方は観ていないから……断言は出来ないんだよね」
と正直に話す。そんなわたしに対し、トーヤ少年は溜息を
その表情は――お前は本当にアホだな――と言っている。
「大体、『スローライフ』とか『ほのぼの』とか、使い方が可笑しくないか?」
少年の問いに、
「残念ながら、『スローライフ』や『ほのぼの』を
主人公が戦争に巻き込まれたり――
主人公を害する人が殺されたり――
主人公が国から命を狙われたり――
「するのが相場なのよ」
わたしは説明してあげる。
「……」
トーヤ少年は言葉を失くしたようだ。
「でもでも、面白そうじゃない?」
気を取り直して、わたしは更に話し掛ける。
今日は折角のお出掛けだ。ショーコも待っている。
わたしとヒナタちゃん、それにトーヤ少年。
――楽しい気分で行こうよ!
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