第2話 “彼女”の真実
上も下も無く、
右も左も区別出来ず、
前も後ろも存在しない世界に
彼はただ居る。
見えているのでは無い、
聞こえているのでも無い、
感覚せず知覚のみ有る。
死の瞬間や時間の経過など一切不明だ。
しかし彼は自分がここに居ると言う
自我を認識した。
***
(僕は死んだ筈だけど、君はまだ居るのかな?)
『えぇ居ますよ』
(君は誰?神様とは違うよね)
『私が何者であるかと言う質問は初めてですね』
(あぁそうだね。居るのが当たり前だったからね)
『親和性の強化が目的でしたからね。
申し分のない成果を得ました』
(つまり準備段階だったって事かな?)
『そういう事です』
(詳しく説明してくれないかな)
『当然そのつもりですよ。
今なら理解が出来るでしょう』
彼女
この世の全ては、詰まるところ“情報”であると言う。
情報の本質はネットワークであり、
絶えず流通する事で存在たらしめているそうだ。
彼女はネットワークの一部であり、
僕とコンタクトする為のアプリケーションなのだとか。
彼女が言うには人間を含む生物も物質で構成されたプログラムであって、
自覚がないだけで根源的には同じものらしい。
情報の収束したものがエネルギーであり、
それが凝固したものが物質であるそうだ。
つまり膨大な量の情報が詰まったパッケージ。
それが”物質”なのだとか。
物理法則とは、その情報パッケージを扱う為の規則だそうだ。
本来、情報を操作するのに物理法則は必要ないらしい。
いわゆる“観念”によって情報を操作する世界が根源として存在しているそうだ。
さぁ~っぱり分かりましぇ~ん!
本来の僕は”中の下”ですよ?
さらに理系は”下の下”だよぉ~ん。
でも観念?念力みたいなもんかな?
だったら文系になるの?
違う?
何系?
(転生先には君も付いてきてくれるのかな?
言っておくけど僕に生活力なんか無いよ。)
『勿論ですよ。
一人で行かせるわけないじゃないですか』
(そぉ!良かった~)
『まだ説明の途中ですから最後までちゃんと
聞いてくださいね』
(うん!頑張るよ!たぶんわかんないけど!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます