応接室

謁見の間での任命が終わり、アルス、国王、宰相、ロフの4人は王城内の応接室に移動した。

色々と職務内容などを説明してくれるみたいだ。


「アルスくん、いや、サーナス大臣、いやこれではお父上と一緒だ。アルス大臣と呼ぶことにしましょう。まずは外務大臣についてです。」


宰相が説明を始める。


「まず外務庁の仕事ですが、その名の通り外交政策を担う官庁です。そして大臣の仕事は主に王都で各国の大使と外交交渉を担います。時には他国に出向くことも当然あります。」


「わかりました。」


「そして次は商務庁です。商務庁の仕事は貿易や国内の商業政策です。商務大臣については貿易の仕事が主で他国との調整役を担っています。」


「なるほど、どちらも他国との交渉などがあるわけですね。」


「はい。その点もあり今回は兼任をしていただきました。」


宰相は詳しく説明をしてくれた。

しかしアルスにはひとつ懸念点があった。


「宰相ありがとうございます。職務内容についてはわかりました。ひとつ心配なことがあるのですが聞いてもよろしいですか?」


「何でしょうか?」


「はい、心配している点は私がまだ6歳だと言うことです。リーベル派が壊滅し人材不足であるため、財務大臣から推薦していただき大臣を引き受けました。ですが、私は今後10歳になれば王立学園に入学したいと思っています。王立学園の卒業は貴族にとって最低限のことですので。」


「なるほど、入学すれば5年間は学園に拘束されてしまう。その点を心配されているのですね?」


「はい。まぁ外交交渉の点で子供だからと舐められる心配もありますが...」


アルスはそう言うと国王が口を開く。


「アルス大臣、心配はいらん。そなたは鬼才だ。学園の方は通わなくても卒業できるようにしてやる。まぁ試験だけは受けてもらうがな。あと、子供だから舐められるかもしれないと心配しているようだが、我が国は大国である。ある国を除いては舐められることは無いだろう。あと、優秀な補佐官も付けるから安心してくれ!」


「ありがとうございます。そこまでしていただけるとは。」


「君には働いて貰わないとな!この国のために!」


「はぁ...」


「あと、外務庁と商務庁の人員を増員することにする。そなたの負担を減らすためにな。」


「それはありがとうございます!」


国王はアルスの働きやすい環境を提供してくれるようだ。

そして宰相が付け加えて説明をする。


「アルス大臣、明日には早速登庁をしていただきます。アルス大臣は兼任ということですので官庁を移動する必要が本来ありますが、負担を考慮して外務庁の大臣室を主室としてもらいます。商務庁のことで大臣決裁等が必要な場合は職員が外務庁に向いますので。補佐官については、アルス大臣の秘書だと思ってください。」


「そこまでしていただけるとは、宰相ありがとうございます。」


宰相は色々と裏で調整してくれていたらしい。とても優秀な人だとアルスは思った。


「本当に宰相は昔から仕事が早いな。」


「陛下は昔からめんどくさがり屋ですからね。」


国王と宰相は同い歳の幼なじみである。

とても仲が良さそうだ。

2人の様子を見てアルスはそう思った。


「ではアルス大臣、明日から頼むぞ。補佐官もいるからな!」


「はい、わかりました!」


こうしてアルスの大臣としての生活が始まる。

そして、補佐官との出会いで新たな世界へ。





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