第5話

全員が早川が指差した人物を見る。190センチぐらいあるだろうか。その男性はかなり背が高い。睫毛まつげが長く、ギャルがメイクをしたような目で、イケメンの部類に入るのだろう、どこか魅力的に見える。

背の高い男は当然反論する。

「はあ?! 何言ってるんですか?」

「警察を呼んでください! 私は心の中が見えるんです」

会場がざわつく。1人の男性がスマホを取り出し、電話を掛けようとした。

「ちょっと待ってください! 私は警察官です! 取り敢えず話を聞きましょう!」

日吉が場を静めた。警察官というのは中々効力が有るようだ。

「早川さん、どういう事ですか?」

「どうもこうも無いです。その方が奥さんを殺す映像が見えました」

背の高い男は反論する。

「そんなものが見える訳無いだろう!」

「私は心が見えるんです。皆さんも見ていたでしょう? 調べてください。この方の奥さんが亡くなっていますから」

「馬鹿な事を言うな!」

「ちょっと待ってください!」

日吉が2人に割って入る。

「すみません、取り敢えず奥さんに連絡とれますか? 奥さんと繋がれば早川さんの勘違いだと分かりますし。もちろん、出なかった場合でも、あなたが殺したとはなりませんよ」

「……分かりました」

背の高い男は妻に電話を掛ける。


「出ません」

会場がざわつく。皆は近くにいる友人に、やっぱり殺しているよと、いうような会話を好き勝手に始め出した。日吉が場を静めようとした時、扉が勢い良く開いた。

「警察です! 何か事件ですか?!」

先程の男性が警察へ連絡を入れたのが繋がっていたようだ。スマホから警察へ連絡すると位置情報が分かる。すぐ切ったのだが、逆に緊急性があるとなってしまったようで、2人の警察官が部屋に入ってきた。日吉が警察官へ説明する。

「お疲れ様です。日吉と言います。今回の件の説明をさせていただきます」

日吉がそう言うと、若い方の警察官が日吉に気付いた。

「えっ?! 日吉って、警察官ボクサーの日吉さん?!」

「あ、そうです」

「おお、凄い! 本物だ! あっ、すみません、職務中でした」


日吉は警察官ならだいたいの人が知っている有名人だ。日吉は警察官2人に、これまでの状況を説明した。

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