肺の中の夜

真夜中に溶けてしまいたいと

泣いた君は

アイスキャンディーみたいに

崩れて消えた


君の混じった真っ黒な夜の灰を

僕の肺で飲み干そう

真夜中の底が抜けないうちに

誰も知らない御伽噺さ


一息ごとに

深まっていく

混じっていく

僕の中に君を満たして

僕の肺に君の夜を閉じ込めて


生きているうちに 逃げ場所の無かった君よ

せめて僕の中で 夢を見るがいい

君に居場所があるのなら

ここ以外には

ありはしない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る