ぼくの言葉は旅をする

泥からす

重ねて貼り付けられる

春は春のまま、そのまま

夏は夏のまま、そのまま

秋は秋のまま、そのまま

冬は冬のまま、そのまま

重ねられ、貼り付けられるままに

春になる

夏になる

秋になる

冬になる


何も変わらない

少しずつ濃くなっていくだけだ

重ねられた絵具が

色を濃くするように

少しずつ薄くなっていくだけだ

渇いた絵具が

剥がれ落ちていくように


人も同じ

何も変わらない

ただ、重ねていく

今日に今日を

次にまた新しい今日を


重ねる程に 微妙な色合いは失われる

重ねる程に 鈍くなる

それが 心地よい


もっと厚く 貼り付けよう

自分が何処に居るのか

誰にも見分けがつかない程に

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る