【本能vs理性】こーすけ!逃げるんじゃない!
キコリ
第1話(本能)
『困った困った困った困った!』
ん…なんだなんだ、うるさいな。
俺はベッドから起きた。時計を見ると、午前6時半を過ぎている。「孝介」が学校に行く時間だ。
俺は、まだ眠たい神経に刺激を与え、一瞬で目を覚ました。そのまま<脳>に、孝介の視覚情報を送るよう依頼する。
「おはようございます、本能さん。現在の視覚情報です。」
「おはようございます、脳さん。朝からすみませんね。」
俺は脳に挨拶をし、視覚情報を読み取った。
『あああああ、どうしようどうしよう!テストなのをすっかり忘れてた…』
『もしもし!…あのさ、今日って、日本史のテストあるよな?』
―――あぁ、また「テスト」とやらで困ってるのか。
俺は、悶々とした。孝介は絶賛「テスト」というもので大騒ぎしている。そして焦ったまま友達に電話をし、日本史のテストについて聞いていた。こんなの、聞いたり考えたりするだけ無駄だ。
俺は孝介の言う「テスト」が何なのか、未だに分かっていない。それでも、「本能」として意見を出さない訳にはいかない。
面倒だな、と思いつつ、俺は「孝介の思考」に問いかける。
「孝介。ここはとりあえず休もうぜ。テストなんて、一度ばっくれても大丈夫だ。」
『ヤバい…俺の本能が休めと言っている気がする。』
孝介は、俺の意思を口にした。
そのまま学校を休む意思を固めてくれれば、俺の仕事はなくなるのにな…。
俺がそう思った瞬間、孝介はまた別の言葉を口にした。
『でも、このテストは期末試験だし、評定を取るには大事なものだ…やるだけやることも大切なのかもしれない。』
俺はハッとした。
そして、俺のいる「本能の部屋」の隣の部屋を睨みつけた。
さては…ここに来て「理性」が反応し始めたな?
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