6
額にねじり鉢巻をしめた紅丸は、大工道具を手に持って立ち上がった。
「じゃあ俺様は、喜助のやつをしごいてくるにゃ」
「紅丸。あんたはすぐに手がでるんだから、ほどほどにするんだにゃあ」
「ほっとくにゃ」
今日も新米大工の喜助の指導に行く紅丸。彼の態度を白菊がとがめたが、聞く耳を持たない。
「白菊も今日から仕事かにゃ? しっかり働くんだにゃ」
そう言って、紅丸は『化け猫亭』をあとにした。
「白菊ー。ぼくもおしごとってくるにゃ。白菊もがんばるにゃー」
「月夜もがんばるにゃー」
月夜も配達があるため、紅丸と同じく店を出ていった。
しばらくすると、小春が『化け猫亭』にやってきた。
「おはようございます。お蘭さん、白菊さん」
「はい。おはようございます、小春さん」
「おはようございますにゃあ」
「これは、今日の分の支払いです」
小春が差し出した小さな包みを、お蘭が受け取って中身をたしかめた。中身はお蘭が提示した金額がしっかりと入っていた。
「はい。たしかに受けとりました。白菊」
「にゃあ」
白菊はお蘭に作ってもらった自慢の前掛けのほこりを軽く払うと、小春の前に立った。
「今日はよろしくお願いしますにゃ」
「こちらこそよろしくお願いします。抱き上げても?」
「はいにゃ。お蘭様、行って参りますにゃ」
「気を付けてね」
小春に抱き上げられ、白菊は小春の家であり店がある椿寺に向かった。
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