第5話ボトムサンズ
せっかくお母さんからきれいな制服を貰ったのに俺は1度家に戻ってからわざわざボロボロの服に着替えて、セピアと一緒に降りた下級街のさらに下に向かっている。
ベルトワルダの話では下級街の反乱者達の実態はまだ掴めておらずとりあえずの俺の仕事は反乱者達の勢力の把握とどこを拠点にしてるのかの調査だ。 そして2日後には噴水広場でベルトワルダに報告だ。
それにしてもどこに反乱者達の拠点はあるんだろうか、そんなんも分かんないで放り出すなよな。 セピアはめちゃくちゃ心配してたし、お母さんはこの潜入作戦を聞いた時には目が血走ってベルトワルダを殺してくるって叫んでたな。
さっきからずっと1人で考え事をしてるけど、それも飽きてきたというから寂しい、誰か居ないのか。 その考えに反して街の人通りは無くなってき、地面の舗装も無くなりれんが造りだった建物もただの木で作った小屋などが増えたきた。
「こんな所で何をしてるの?」
1人の女の人に声をかけられた。 髪がこっちに歩いてきても揺れないほどに短髪で少しくせっ毛っぽく先端がカールしている。
「いや、ちょっと道に迷ってしまって」
「そうなの、じゃあ近くで炊き出しやってるから、とりあえずスープでも飲んで温まりなさいよ」
「ありがとうございます!」
女の人についていくと周りに建物がない空き地に出てその中心で人々が大きな鍋に群がっていた。
「ほら、早く来てそんな格好をしてるんだから下級街に住んでるんでしょ? あんまりご飯も食べれてないだろうから、この列に並べばスープだけだけど夜ご飯ぐらいは賄えるだろうから」
「あの、いつもこんな事してるんですか」
「そうだよ、私達、ボトムサンズは今の王政を変えてみんな話し合ってこの国を運営していく議会っていうものを作りたいの」
「ネル! それはあんたの意見だろ! 俺はもうこの国の王族にはうんざりだ、力で王族を根絶やしにして、その上でこの国の実権を握る!」
「アレク! あんたの危ない考えをここでぶちまけるのはやめて! 争いの先には何も生まれないわ!」
「どうだか、俺はあんたがキレイごと言ってるようにしか聞こえないけどね」
「もう今は黙ってて食事をしてる人も居るんだから」
「ネルって名前なんですね」
「そう私はネル、それであっちにいてスープを注いでさっき怒鳴ってた奴がアレクよ、この通りボトムサンズはバラバラの集まりでね。 みんな今のこの国の王族達に不満を持ってるのは同じなんだけどね。
私は話し合いでの解決を望んでるわ、半分以上のメンバーが武力で王族達を殺してこの国を変えようとしてるけど。
噴水広場での事件も私達のメンバーが起こしたみたいだし、幸い誰も死ななかったみたいで良かったけけどね」
「メンバーはどのぐらいなんですか?」
「詳しくは分からないけどこの最下層下級街の住民はほぼボトムサンズに所属してるわ、大体の人がここで週2回の炊き出しをたべるだけだけどね」
「じゃあ俺も入りたいです!」
「大歓迎だけど多分荷物運びぐらいしかやる事ないよ?」
「俺は怪我人とか医療に関しては知識があるんで、そこで役に立てると思います」
「それは本当に大歓迎! じゃあ早速明日の朝ここに来れる? 怪我人と病人が最近増えてきているから見てもらいたいかな」
「分かりました! よろしくお願いします」
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