ラビット編
第11話 兎の恩返し1
(兎君side)
こんにちは…僕はベンジャミン。
高耳兎の獣人だ。
僕達兄妹には練金術師の両親がいて、そこそこ裕福に暮らしていた。
しかし数年前、父親が何者かに殺されてしまい、犯人はわからずじまい。
母親は仕方なく、大家のマクレガーさんに12歳の僕と8歳の妹を預けて、ズーラシアン王国に出稼ぎに行く事になった。
ところがマクレガーさんは母親がズーラシアン王国に行って1年も経たない内に、僕の家の財産を『お前等の親にお金を貸している。貸した物を返して貰う。』と言って全部自分の物にしてしまったんだ。
その上、自分の家や土地、僕達が借りていた家まで売り払って何処かに行ってしまった。
その所為で僕達は住む所も無くし、途方に暮れていた。
そんな僕達を拾ってくれたのは、街外れにある古い教会の神父とシスター。
こうして僕ベンジャミンと、妹のフロプシーは教会で暮らす事になった。
教会には僕達の他に、3人の獣人の子供がいた。
気は優しくて力持ちの熊獣人のガス、僕達と同じ高耳兎獣人で無口なマリウス、元気なのがとりえでムードメーカー猿獣人のダイ。
皆んな親を亡くして、教会に引き取られたそうだ。
僕達は教会の手伝いをしながら、暮らしていた。
ある日、教会に行商人だと言う怪しい男達がやって来た。
シスターの話しによると、そいつらは……
『時々教会に来て子供達に養子先や仕事先を紹介してくれる、とても親切な方々。』
だと言う事だったが、怪しい話しだな。
いくら『行商人として彼方此方回っているから』と言っても、大商会でもないアイツらに、そんなに紹介できる引取り先があるとは思えない。
僕達が来る少し前まで、教会にはもっとたくさんの獣人の子供が居たそうだ。
しかしその子達はすでに行商人の紹介で、それぞれ引き取り先に連れて行かれたそうだ。
引取り先の人が教会に来た事は一度もなく、いつもあの行商人がまとめて馬車で連れて行くのだとダイが教えてくれた。
ますます怪しい。
だいたい教会で引き取っている子供が、獣人ばかりというのもおかしな話だ。
その話しを聞いた僕はこっそり、神父と行商人の話しを聞こうと、神父の部屋の裏にある、物置に忍びこんだ。
するとそこには先客がいた。
マリウスだ!
彼も『アイツらは怪しい』と思っていたのだ。
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彼等の名前の元ネタがわかった人は凄い!
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