生活魔法しか使えない少年、浄化（クリーン）を極めて無双します（仮）（習作３）

第28話 逃げ足はやっ！

翌朝、ルークは遅く起きたので、ポーリンはもう出掛けたようだった。予定通り荷物を取りにパーティの拠点に向かったのだろう。

ルークは店が開くのを待ってから、酒や食材をを買い込み、街を出た。

街道を進み、途中で森に入る。

だがルークは、森をしばらく歩くうち、尾行してくる者が居るのに気づいた。森の中では常に魔物や危険な動物の気配に気を使っているので追跡者にもすぐに気付いたのであった。

ルーク「しつこいねオヂサン」

バッケン「あっさり見つかってしまったな」

バッケンは仕方なく姿を現した。

バッケン「どこへ行く気だ？　その先は何もないぞ？」

ルーク「あるよ？」

バッケン「何がだ？」

ルーク「……森、かな？」

直後、ルークが森の奥に向かって駆け出す。

バッケン「逃しはせん！」

バッケンも追う。

だが、森の中ではルークのほうがやはり（・・・）足が速かった。バッケンはどんどん引き離されて行き、ついにルークを見失ってしまう。

バッケン「なんて速さだ……足場の悪い森の中とはいえ、レインクラッド流の走術を持ってして追いつけんとは……ちょっと現実なのに信じられん…」

ルークを見失ってしまったバッケンは、しばらく森の中を彷徨ってみたものの、ルークの足取りを発見する事もできず、仕方なく街へと戻っていった。

　　　＊　＊　＊　＊　＊

ポーリン「……知らない天井……？

…そっか、宿に泊まったんだっけ。」

パーティの拠点に泊まるのが嫌で、ギルドの裏にあるギルド提携の宿に泊まったポーリン。

長く逗留する事になるかも知れないので、部屋は値段が安い一番小さい部屋にしてもらった。ベッドがひとつあるだけで椅子もテーブルも置けないような狭い部屋であるが、どうせ寝に帰ってくるだけなので問題ない。

ポーリン「ちょっと寝坊しちゃったわね」

ルークが【クリーン】と【ドライ】を掛けてくれた布団は気持ち良過ぎた。ぐっすり眠ってしまい寝過ごしてしまった。正直、まだまだ寝ていたいくらい気持ち良いのだが、そうも言っていられない。

ルークも隣の部屋に泊まっているが、どうやらまだ寝ているようだ。今日は土産を買って帰るだけだと言っていたので、ルークは店が開く時間までゆっくりできるはずなので、起こしては悪いと思いポーリンは声を掛けずに出かけた。

今日のうちにパーティの拠点（アパート）に行って私物を引き上げてしまうつもりである。

ポーリンは、できたらパーティのメンバーが居ない事を願っていたが、パーティは一週間の活動停止処分を受けていたはずである、可能性は薄いだろう。

だが、アパートに着くとパーティの拠点（アパート）に人の気配はなかった。皆、出掛けているようだ。しかし、中に入ってみると、一人だけ、よりによってジャックが残って居た。

ジャック「ようポーリン、昨日はどこに泊まったんだ？　帰ってこないから心配したんだぞ？」

ポーリン「どこだっていいでしょ」

ジャック「そんな事言うなよ、仲間だろぉ～？」