【完結】竜騎士の私は竜の番になりました！

229：結婚式～後編～

　セレスティアはカイエルが今頃何を言っているのかと、目をぱちくりさせて驚いた。

　「まさか！・・・まぁ正直いうとね、初めの頃は番って言われてどう受け止めたらいいのかわからなかったけど・・・今はカイエル貴方が大好きよ。」

　セレスティアはカイエルを安心させるように、微笑んだ。

　「よ、良かった・・・」

　バシッ！！

　「うっ！」

　カイエルはセレスティアの言葉にホッとしたが、セレスティアに背中を叩かれた。

　「バカね！なんでこんな結婚式の真っ最中にそんなこと聞いてくるのよ！今更でしょ。嫌なら、私はもっと前にはっきり言ってるわよ！」

　「た、確かにそうだよな。」

　「カイエル・・・あんたって子は・・・」

　「ほんに、今更じゃのう。」

　そのやり取りを見ていた、イシュタルもアンティエルも心底呆れていた。

　セレスティア達の様子を遠目に見ていた、ハインツがラーファイルに切り出した。　

　「ラーファイル。僕たちも、そろそろ式ををあげないとだね？」

　「！」

　ラーファイルは目を見開いていた。

　「僕のこと・・・お嫁さんにしてくれるの？」

　「はは、それ以外ないだろ？愛してるよ、ラーファイル。」

　「うれしい！・・・ありがとう。ハインツ・・・」

　ラーファイルは感極まって、ハインツに抱き着いた。

　「こちらこそだよ。・・・それに式には母さんも姉さんも呼びたいしね。」

　「ハインツ、それって・・・！」

　ハインツは姉ペトラに対して蟠りがあった。ペトラが実はハインツのことを思ってわざと悪役を買ってでたことに、ハインツは知らなかったのだ。しかしラーファイルはそれに気が付いて、ハインツに誤解であると伝えていたのだ。しかし姉と溝ができてしまったハインツは真実を知った今も、姉と関係を修復できずにいたのだ。

　それが、結婚式には姉も呼びたいといったハインツの言葉に、ラーファイルはハインツが姉ペトラとの関係に前向きになったとわかったのだ。

　「うん！うん！結婚式、絶対招かないとだね！」

　「ラーファイルには長いことやきもきさせてしまってごめんな。」　

　二人は抱きしめ合っていた。

　「ふふ、いい方向で事は進んでるようでなによりだ。」

　ユージィンはポツリと呟いた。

　こうして、セレスティアとカイエルの結婚式はつつがなく催され、皆に祝福されて終わったのであった。

　その夜、二人は湯浴みをすませ、寝室のベッドの上にいた。

　「カイエル」

　「セレスティア」

　「改めまして、今日からは、夫婦としてよろしくね。」

　セレスティアは恥ずかしさもあったが、今日からは夫婦としてやっていくためにもちゃんとけじめの挨拶をしたかったのだ。

　「あぁ、こちらこそだ。」

　カイエルもセレスティアと同じく、顔を赤らめていた。

　「それに・・・」

　セレスティアは自信のお腹に手を当てた。

　「貴方にはまだ会えないけれど、出てくる日を楽しみにしているね。」

　セレスティアは、自身の赤子に話しかけた。すると・・・

　「あっ！」

　セレスティアは驚いた。初めて感じるものがあったからだ。

　「ど、どうした？！」

　「なんだろう？動いたっていうのではないんだけど、何か掌が少し熱を持ったのよ。」

　「もしかして返事の代わりなのかもな。」

　「よろしくって？」

　「多分な。」

　「ふふ、敏い子なのね。楽しみだわ。」

　セレスティアはまだ見ぬ我が子を愛おしく思った。

　「きっとセレスティアに似てるんだよ。」

　「あら？カイエルかもよ。」

　二人は顔を見合わせて笑っていた。

　「カイエル・・・愛してるわ。」

　「俺も・・・セレスティア愛してる。」

　カイエルはセレスティアを後ろから抱きしめ、まだ見ぬ我が子との対面を楽しみにしていた。