第14話 グループ行動は偶数が定番。
「……リア……ジュリア、今からオリエンテーションよ。初日から寝ちゃダメじゃない。」
「セレナ……様……」
嫌な夢を見た、気がする。何だかモヤモヤしている。
「顔色が悪いわよ、保健室行く?私も一緒に行くわよ。」
「メアリーさん、そういった事はクラスの代表である私が付き添いますわ。あなたは1人で、どうぞ先に行ってください。」
「あー、私なら大丈夫です。行きましょう。」
「羨ましいなぁ、美少女二人に取り合われて。」
あぁ、思い出した。こいつが意味深な事を言ってきたせいだ。
というか、人の肩に頭乗っけるの止めてください。
「あなたは……モルビデリ伯爵家の……」
「シモネット公爵嬢、知って頂いて光栄です。ジューリオ=モルビデリ、しがない三男ですよ。」
どうやらセレナ様はジュリオを知ってるようだ。
後で聞いてみても良いかもしれない。
「ジュリア、オリエンテーションは中庭で行われるのよ。ここでの学園生活では身分は関係ない、その為に学園内での話し方の勉強をしっかりするみたいよ。」
どうしたメアリー、君はそんなセレナ様にケンカ売るような子じゃなかったでしょうに。
この二人、笑顔なのに冷たい感じ。元から性格は合わないのか……?
「中庭ね、ほらみんな早く行きましょうか。」
ジュリオの顎を肩で押し上げ、二人を連れて中庭へと向かった。
中庭につくと、他のクラスの同級生も集まっていた。
少し高い台の上には5年たって、よりイケメン度がました王子様が立っていた。
「みなさん初めまして。学年代表のレミジオです。この中には、僕の顔見たことがある者もいるかと思いますが、この学園内ではただのレミジオとして接してください。勿論君たち全員にも同じことを伝える。この学園では、先刻学園長が伝えてくださった通り、身分制度を緩和させる第一歩として僕たちが未来を変えていく気持ちで過ごして欲しい。」
集まった生徒全員と教師の拍手が殿下、いやレミジオに拍手を送った。
学園長そんなことを話してたのか。確かにメアリーも同じことを言ってたな。
「さて、今から皆にしてもらうオリエンテーションの説明だが、まず二人組になってお互い自己紹介をしよう。その後このタオルで足を結んで教師達から逃げてもらう鬼ごっこだ。教室に隠れてくれても構わない。時間はこの時計の針が上に着くまでだ。」
みんなざわざわと誰と組む相手を探し始めた。
学園内も逃げながらだいたいの地形を覚えれるし、生徒40人程度に対して教室7人だから20対7、逃げきれなくても逃げきれなくても会話のネタになっていくだろう。
「わぁ、俺たち丁度4人だね。どうやって分かれる?」
当たり前のように入って来てるよジュリオ。
何だよこいつ、少し喋ったからって仲間気取りですか。
「勿論、私とジュリアが組むのは決まってますわ。」
「いいえ、オリエンテーションで仲の良さを深めるのが目的です。つまり、私とジュリアが組まないと。」
そして何で私は取り合われてるの。
あ、でも逆に……
「それなら、セレナ様とメアリーが組んだらお互いの事を良く知れるんじゃないかしら?」
「まぁ、ジュリアがそういうのでしたら……」
「仕方ありませんわね……」
すごく不服そうな顔をしながら、二人は足を結ぶためのタオルを取りに行った。
ジュリオと組むのは本位ではないが、さっきの話を詳しく聞けるチャンスだ。
「じゃあジュリオは私と……」
「あ、ごめん、ジュリア。俺さっき女の子に誘われちゃって、その子の組むから。」
じゃっとジュリオは去っていった。いや、何なのあいつ。
美少女と組みたかったってか。私じゃ不満だってか。
他に誰かと探すもみんなちゃくちゃくと二人組を作ってスタートをしていってしまった。
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