第3話 私は成長期に期待している。



考えながらも、特に出来そうなこともなく生誕祭の日がやってきた。


こうやって行動力がない辺りが私がモブたる所以なのかもしれない。


逆境に燃えるわけでもなく、博愛主義者という訳でもない。



「お前、最近別世界に行ってることが多いけど大丈夫か?」


「わっ、ちょ、急に話かけて来ないでよ。というか部屋にノックなしに入ってくるとかあり得ないでしょ!」


ましてや乙女の部屋ぞ。


「ノックも声もかけたよ、そろそろ準備しないとエスコートしてやらんぞ。」


この偉そうなのは私の5歳年上のお兄様だ。

まぁ長男だから偉そうなのは可愛いもんだが、気にくわないのは将来イケメンになるだろうという顔立ちだからだ。


癖毛の私と違い、茶髪のサラサラヘヤーとキリリとした二重、成長期で失敗しろと思う。


同じ両親から生まれたはずなのに、このテューリ兄様とリタ姉様はモブ顔ではない。かなり不服だ。


「じゃあ着替えるから出てって、ついでにサラ呼んでくれる?」


「俺に命令するなよ。」


「お願いします、テューリお兄様!」


「ふんっ、サラを呼ばないとお前の準備が出来ないだろうから、仕方なく呼んできてやるよ。」


ツンデレ。テューリ兄様可愛いなぁ。兄様がモブ顔になったら現代のモテテクニックを伝授してあげよう。この国で通用するかは知らないけど。



「さ、お嬢様今日は腕によりをかけて可愛くしてさしあげますよ。」


サラとは私が目が覚めた時からお世話をしてくれるメイドさんだ。アルファーノ伯爵家でずっと勤めてくれているらしい。


「あまり目立たなくていいんだけどね、このドレスも派手だし。」


黄色のヒラヒラした花がたくさん刺繍されたドレス、この刺繍1つでかなりのお金がかかるので、伯爵の気合いの入れ方が違う。


「何を仰ってるんですか。王子様のお目にかかれるようしっかりしてくださいませ。前からジュリアお嬢様はこの日にかけると宣言していたではないですか。」


そう、本来のジュリアは王子様を狙ってたらしい。

確かに小説の挿し絵を見ても金髪の白馬の王子様だから好きになるのはわかるし、セレナ様の取り巻きでいたのも主人公を虐めてたのも何となく理解はする。共感はしないけど。


「はいはい、こんなモブ顔だけど頑張りまーす。」


「その最近言い始めた、もぶ顔の意味はわかりませんが、ご自身が愛してあげないと本当に醜くなってしまいますよ。」


つい出てしまう前世言葉を子供の流行り言葉と思ってくれてるらしい。人前では言葉使いに気を付けるように注意をされて送り出された。



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