悪役令嬢に転生出来なかったので、フォローに回ります。
葉琉
第1話 まさかモブに転生するとは思ってなかった。
世の中転生物語が流行っている。
それだけみんな現実が嫌で、別世界に夢を見ているのだろうか。
まぁ、私も夢見る1人だ。
何なら聖女や勇者より、悪役令嬢が活躍する話が好きで、
小さい頃にアンパンマンを見ても、どうすればバイキンマンが勝てるのかを親に聞いて、
「アンパンマンは正義の味方だから負けないんだよ。」
と親に言われてショックを受けたのを覚えてる。
別に悪役令嬢やバイキンマンの様に、悪いことをした人を応援するのではなく、
そこに救いがないのに納得がいかないのだ。
そんな私はある日、
明らかに中世の、自分の部屋ではないベッドで目を覚ました。
「え……これは……夢…?」
まぁ夢だろう。毎晩、寝る前にこの世界に入れないかと念じて、
入りたい世界観の小説を枕元に置いてた私だ。
良い年して中二病という病気らしい。
この明晰夢を楽しもうと起き上がり、違和感を感じる。
周りの家具が全て大きいのだ。
「これはあれかな。不思議の国のアリス的なイメージなのかな。」
確かにあれば中世のイメージピッタリだし、勿論アリスも大好きだ。
そんな夢の分析をしていると、部屋のドアがノックされた。
「お嬢様、失礼致します。」
おぉ、巨人のメイドさん。
ちゃんと裾も長くて髪の毛もきっちりお団子で纏まっている、おばさまメイドさん。夢ならメイド喫茶の様な子が出てきてもいいのに、変な所でリアルだ。
「あら、お嬢様が起きてるなんて珍しいですね、今日は雨ですかね。」
失礼な。と言い返そうかと思ったがメイドさんにそのまま抱えられ鏡の前に連れてかれて、初めて自分の顔を見た。
私が小さくなっているのだ。小学生くらいの幼い顔。
「ジュリアお嬢様、今日は初めてのシモネット公爵のお茶会ですからね。うんとおめかしして、失礼のないようにしましょうね。」
どうやら私はジュリアという名前らしい。
茶色髪に平凡な顔、どうせなら赤髪とか金髪とかが良かったけど、
いや、明晰夢なら念じれば変えれる気がする。
私がそうやって考えている間に身支度が整えられていた。
お茶会行く前に目が覚めるかと思ったけど、順調にお茶会場所のシモネット公爵の屋敷に着いてしまった。
「私、お茶会のルールとか知らないんだけどな。ってかシモネット公爵って誰だよ。」
どうせなら知ってる世界観で夢を見たかった。イケメンとかイケメンとか出てくるような。
まだ会ったのおばさまメイドさんと馬車のおじさんだけだからね。
「あら、ジュリアいらっしゃい。」
赤髪の可愛い女の子、ちょっと目がキツそうな雰囲気があるけど、きっと美人になるだろう。どうせなら私はその顔が良かった。
他にも迎えてくれた女の子の他にも3人席に既に座ってた。
こちらは私同様モブ顔だ。
「ジュリアすごいわよ、このお茶会の為にセレナ様がティーカップを選んでくださったのよ。」
「私は見てわかりましたわ、だってセンスがとても良い柄ですもの。流石セレナ様ですわ。」
見事なワッショイ。どうやらこの赤髪のセレナ様が主催の公爵様らしい。
赤髪のセレナ様……?ちょっと待って、シモネットは覚えて無かったけど……
寝る前に読んでたラノベの悪役令嬢にいましたよセレナ様。
あ、なるほどその影響なのね、小説内では高校生くらいから始まるから全然ピンとこなかったけど。
その後は何となくお茶会を乗り気った。が、自分の屋敷に帰っても、寝ても覚めても夢から覚めない。
「夢の時間って確かに長いけど、1週間は長過ぎじゃない?」
しかも、時間が短縮もされずに全部リアルだ。
少し私もおかしいと思ってきた。これはまさか、私の大好きな異世界転生なのではないだろうか。
しかしどうせなるならセレナ様がよかったな。
最終章ではギャフンされてからの処刑ルートを回避するために奮闘するとかね。
セレナ様の取り巻きは特に本編には出てこなかったけど、主人公のメアリーを虐めたり、悪口言ったりしてたけど、最後はセレナ様の側には誰も居なかったはずだから都合の良い時だけ取り巻いていたのだろう。
さて、どうやって進めて行こうかな。
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