第73話 ユグドラシルの真実
「ユグドラシルから【ユグドラシルの絆】を付与されたのがエルフの祖先の人間の強欲さ故だった、と引き継がれていますが、実際は違ったようです」
「…………」
「数万年前でしょうけど、その頃のユグドラシルは魔力が枯渇しかけていました。そこへちょうど人間がやってきました。足りなくなった魔力を補うため、ユグドラシルの自動防衛機構が働き、たまたまそこにいた人間に【ユグドラシルの絆】が付与され、エルフとしてユグドラシルの守護者にされたのです」
「ふむ…… 知ってしまえばその程度のこと、と言えなくもないが。ユグドラシルが裁きを与えたわけではなかったか」
「あくまでこれはヴェルーガが【ユグドラシルの絆】を断ち切った際にユグドラシルから得た情報です」
「不幸な事故、か……。エルフはな、人間が持っている闘争心などは薄いのだよ。おそらく【ユグドラシルの絆】により与えられたエルフの種族特性のせいだろうがな。それに、世界を支える大樹の世話をすることに誇りを持つ者もおるしな。今更真実を伝えても何も変わるまい。儂の心に留めておくことにするか」
「それともう一つ。【ユグドラシルの絆】から解放される方法ですが、一つはヴェルーガがしたように膨大な魔力で無理やり断ち切ること。あとは、世界がユグドラシルを必要としなくなった場合のようです」
「いずれにしても可能性は限りなく低いのう」
「……これで伝えるべきと思ったことは全部です」
「そうか…… 世話になったな。エルフの長として今後クラウスの助けになることを約束しよう。そのステータスなら人間世界で困ることは無さそうだが……」
「何が起きるか分かりませんからね。いざという時は頼らせて下さい」
◇◇◇
僕はマスターや他のエルフ達と短い別れのあいさつを済ませ、クラウディアさんと共に『ゲート』で王都の家に戻ってきた。
もう既に真夜中だ。
長い1日だった。
これだけ濃密な1日もそうそうないと思う。
疲れたので今日はいったん帰って寝よう。
ミストラルさんは宿舎に既に戻っていて休んでいるようだった。
◇◇◇
LV:135
HP:37564/37564
MP:2999/2999
腕力:2217
体力:2051
速さ:2033
器用:1908
知性:6813
精神:6813
スキル
【生活魔法】
【上級剣術Ⅲ】【上級剣術Ⅱ】
【上級体術Ⅰ】【中級盾術Ⅳ】
【全属性魔法マスター】(NEW)(全ての属性魔法使用可)
【時空魔法マスター】(NEW)(時空魔法の最上位スキル)
【エクスペリエンスⅡ】【ラージⅤ】
【ストロングⅠ】【体力上昇Ⅴ】
【クイックⅢ】【クイックⅠ】
【コンプレクスⅡ】
【クレバーⅤ】(NEW)(知性+50%)
【メンタルⅤ】(NEW)(精神+50%)
【ドラゴンキラー】【ライフレスキュー】
【スキル成長速度上昇Ⅱ】
【ムーンⅤ】(NEW)(2分ごとにMP10%回復)
【MP回復力上昇Ⅳ】
【セレニティⅤ】(NEW)(消費MP50%軽減)
【レアドロップ率上昇Ⅳ】
【MP限界突破】(NEW)(MP999を超えることができる)
【MPバースト】(NEW)(消費MPを追加して効果上昇)
【攻撃時MP回復Ⅴ】(UP)
【撃破時MP回復Ⅲ】
【無詠唱】(NEW)
【詠唱時防御】
【不意打ち】【捕縛術】
【ステルスサーチ】【隠蔽Ⅳ】
【トラップシーカーⅢ】
【上級錬金術Ⅱ】
【エレメントレジストⅤ】(NEW)(全属性攻撃被ダメ50%軽減)
【ウィークレジストⅤ】(NEW)(状態異常耐性100%)
【毒耐性Ⅳ】【睡眠耐性Ⅳ】【沈黙耐性Ⅱ】
【麻痺耐性Ⅲ】【暗闇耐性Ⅳ】【弱者の意地】
固有スキル
【交換Ⅳ】
ヴェルーガとステータスやスキルを交換したのがこの結果だ。
魔法に関して、人間を辞めてしまった感がある。
さすがエルフ。
ヴェルーガが強すぎたんだよな。
しかもスキルに現れないものもあるんだよね。
魔法の同時発動とか、魔法に関して熟練度最大で消費MPがさらに軽減されているとか。
これ絶対他人に言えないやつだよねぇ……。
とりあえず、スタン侯爵様に会いに行かないとね。
あれ、こちらから尋ねるにはどうすればいいんだろう。
ギルド本部の受付に行ってエリアに会う。
ミストラルさんには今日もお休みしたいと伝えている。
「エリアさん、スタン侯爵様にお会いしたいのですが、どんな手続きを取ればいいんでしょう?」
「あら、クラウスさんなら門衛にカードを見せるだけでいけると思いますよ」
「分かりました。エリアさん、また後で話があります」
「ふふっ、お待ちしておりますわ」
◇◇◇
いったんエリアと別れて、【時空魔法】の転移でディアゴルド邸の前に移動する。
驚かせたらいけないから、少し離れたところに出現して歩いて向かった。
貴族なら馬車での移動なんだろうけど……。
「すみません、クラウスと言いますが、スタン侯爵様にお会いできませんでしょうか?」
「ん、なんだ、ここは子供の来るところじゃ…… クラウス、って言ったか? ちょっと待ってろ」
しばらくして、サイモンさんが出てきた。
「ようクラウス、久しぶりだな。今日はどうしたんだ?」
「お久しぶりです。サイモンさん。侯爵様にお伝えしなければならないことがありまして。事前のお報せもなく来ていいかどうか迷ったのですが……」
「普通なら事前の約束がない者は断るところだが、お前なら大丈夫だろうよ。まあ入んな」
「ありがとうございます」
そして、サイモンさんが執事さんと代わり、侯爵様の執務室に案内される。
「御当主様、クラウス準男爵様がお見えになりました」
「うむ、入ってもらうのだ」
侯爵様の執務室に入る。
◇◇◇
「クラウスよ、そなたたった1日で何を仕出かしたのだ? あのエルフがこれからクラウスに全面的に協力すると言ってきおったぞ。クラウスに何かあればエルフ全員を敵に回すことになるともな」
「クラウディアさんそんなこと言ってたんですか……」
「なんと、名前もお主に教えておったのか。我らには名も無きエルフと呼べと言っておったのに」
この感じだと多分詳しいことは言っていないな。
ということは僕も言っちゃいけないな。
「成り行きでエルフたちを助けることになりました。そして魔法能力もエルフ並になりました」
「さらっと恐ろしいことを言うでない。陛下の耳にも既に入っているだろうな。お主をどう扱えばいいのか、頭が痛いわ。ところで、今日はどんな用事なのだ?」
◆◆◆◆◆◆
いつもお読みいただきありがとうございます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます