4-3 死にたいです。

「ジュンヤ! 助けにきたぜ―――ってなんだこれ!?」

「ホゥさんお疲れッス。ま、見た通りと申しますか」

「あの子は?」

雨野あめの時雨しぐれ、チート召喚者のシーさまッス」

「チート……? まぁ、いいけどよ。止めてあげなくていいのか?」

「それはやまやまなんですが、レベルが足りないッス」


 ジュンヤさんのお仲間が呼んだギルドの野盗オークさん討伐隊が到着したとき、戦いはほとんど終わっていました。


 虫の息、あるいは絶命している非道な魔物たちの酷い姿が、あちこちに転がっている地獄絵図です。


 その中央で、血まみれのセーラー服姿で魔物を屠る眼鏡の文学美少女の姿がありました。


「キャハハハハ! オークさんどうですか!? 痛いですか!? こんな小さくか弱い女の子に一方的に壊される気分はどうですか!!?」

「ブヒッ!? やめ―――ギャア!」


 とはいえ、このときは我を忘れていました。


「ジュンヤ、どう見る」

「教室の隅っこに暮らす抑圧された陰キャ特有の暴力性が解放されてますね。典型的な、力に溺れる三下のムーブッス」

「とはいえ、経験量レベル100で特異な能力を持った召喚者だ。このままでは確かに早晩死ぬが―――」

「……師匠、言ってた。……大きな力……より大きな力に、飲み込まれる」

「何かあったんスか?」

「ふっ、まぁいろいろとな。その言葉自体は、師匠の受け売りだが」

「そうッスか。あ、終わった」


 ジュンヤさんが会話を切り上げるのと同時に、最後のオークさんを始末しました。


「ふぅ、終わりましたよ! ―――んん?」


 てっきり野盗壊滅の英雄を見る憧憬の視線が集まっていると思っていましたが、


「「「「「……」」」」」


 どうも周りの反応がおかしいです。


 そこへ、


「おい」


 露出の多い、耳としっぽが生えた女性がやってきました。うわ、エロい。怖い。清楚なしーには刺激が強いです。


「な、なんでしょう」

「おめーなかなかやるな」

「……? ありがとう、ございます……?」

「でもちょっとせーから下着くらい換えた方がいいと思うぜっ」

「!!」


 そこで初めて気付きました。


 ブチ転がしたオークさんの返り血まみれの身体。


 すっかり破れ、めくれ上がったスカート。


 そして、その中は―――


「うきゃああああああああ!!!?」


 改めましてみなさんこんにちは。


 お漏らしクソ女の雨野時雨です。


 しーって呼んでください。


「やめなさいって」


 ジュンヤさんに言われました。また口に出ていたようです。死にたいです。


【続きます】

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