二話
休み時間になるとメリーの周りにはたくさんの人だかりがあった。僕のところには一人も来ないが・・・
「ねえメリーさん、どこからきたの?」
「何の武器を使ってるの?」
「彼氏はいるの?」
「趣味は?」
メリーは質問攻めにあっている。顔を見るとすごく不機嫌そうだ。僕は仕方なくメリーの手を握る。メリーと席が隣で本当に良かったと感じた。するとメリーはにっこりと笑みを浮かべた。なんとか大丈夫そうだ。
「えっと、ガイノスくん?」
「はい、何か?」
一人の男の子が話しかけてきた。髪は背中まで伸ばしていて一瞬女の子かと思った。
「メリーさんとは何か関係あるの?」
「ただの知り合いだよ。」
一応誤魔化しておく。
「ふーん・・・・・・まあ何でもいいけどね。それよりもさ、ガイノス君、“神の目”をもっているよね。」
まさか速攻でバレるとは。まあ隠してたわけではないが。
「何で分かったんだ?」
「俺たちの見る目が他の人たちとは違うからね、すぐに分かったよ。そういえば俺はベーラル・ノックだ。好きに呼んでくれ。」
「ああ、宜しくなベーラル。」
「あ、そうそう。うちの学園ね班を組むことになってるんだ。人数は決まってないけどね。良ければ俺たちの班に入らないか?俺の他にももう一人いるけどね。」
「僕は別にいいけど・・・」
どうやらこの学園にはそういうシステムがあるらしい。僕は構わないがメリーはどうするのだろうか。もしかしたらもうどこかの班に誘われているかもしれない。そう思っていると不意に手の握る力が強くなる。
「ねえガイ?私も入れるよね?」
「え?うん、まあどうだろ?」
「俺はいいよ。メリーさんなら歓迎しよう。」
メリーも加わり、班は四人という形になった。もう一人については明日来るそうだ。
放課後、俺はメリーに手を引かれて寮に戻った。何か怒っているようだったけど。
「ガイ?私のこと嫌いになった?」
「そんなことないよ、どうしたの急に?」
「だってガイ、私にかまってくれないし・・・」
機嫌が悪いと思っていたら今度は拗ねてしまった。
「だってメリーにも友達は必要だろ?」
「いらない・・・ガイがいるもん。」
「お前なぁ・・・・」
少しメリーは僕に依存し過ぎな気がする。それにドキッとされることもふえているので耐えるのも限界に近かった。それを抑えるために頭を撫でてしまった。
「んっ・・・・・・急に頭を撫でる・・・っ♪」
「なあメリー?もし僕がメリーのこと好きって言ったらどうする?」
「私も好きって言う。ガイは私のこと好き?」
その言葉に僕の中で糸が切れるような音がした。もうなんだっていい、今はメリーに対する気持ちが止まらない。その瞬間僕はメリーと初めてキスをした。ニ年間我慢していた気持ちが爆発する。
「んっ・・・・・ちゅ♥️・・・はぁ♥️・・・」
「・・・なあメリー?僕と付き合ってくれないか?」
「ガイがそう言うなら喜んで♪」
そして僕たちは再び口づけをする。より濃厚で甘ったるい大人の口づけを。もう止まることは出来なかった。
「ガイ?私ガイならいいよ?・・・きて♥️」
「メリー・・・・・・大好きだよ。」
その瞬間だった。急な部屋のドアが蹴破られた。
「うわっ!?・・・どうしたんですマリエスさん?ていうかドアが・・・」
「ドアなら私があとで直す。それよりもお前らここは寮だぞ!」
「だから何?私たちの邪魔をしないで・・・死にたいの?」
メリーが露骨に不機嫌になった。僕としてはギリギリで踏みとどまれたのでありがたいが。
「ほう?・・・私に逆らう気か?」
「私たちの邪魔をした。それは死に値する。」
この人たちここで戦う気満々だ。さっきから周りの空気がヤバイ。なんとかしようにも僕では止められない気がする。それでもなんとか言葉を紡ぐ。
「ちょっとここ部屋の中だから、暴れないでください。」
とりあえずメリーの前に立ちふさがる。
「ガイ?すぐ終わるからどいて?」
「そうだガイノスくん、そこをどきたまえ。」
話が通じない。まあ元は僕が欲に負けたせいだ。なんとかしなくては。その時だった。
「ちょっと学園長!!まだ仕事が残ってますよ!こんなところで遊んでないで戻ってください!」
一人の男性が怒鳴りながら現れた。その姿はまるで美少年そのものだった。
「げっ!もうきたのかハル!」
「何がもうきたのかですか!早く戻りますよ!」
このハルとかいう美少年、あの学園長にすごい言いようだ。もしかして学園長より立場が高いのかもしれない。
「嫌だと言ったら?」
「また腰の骨折りますよ?」
何か一瞬恐ろしいことをさらっと言ったぞこの美少年。
(“目的は達成”されたしいいか。)
マリエスさんはそのまま戻っていった。この人は敵にしてはいけない。直感的にそう感じた。
「ごめんな転入生たち。あの人はいつもこういうことをするんだ。ああ、ドアはあとで責任をもって直すから。」
「あ、ありがとうございます。」
「あ、そうそう。ここの壁は分厚いから大きい声出しても隣には聞こえないよ。」
「え?」
「それじゃまたね。」
謎の美少年はその後足早に去っていった。メリーはというと唖然としているのかなんとも言えない表情をしていた。
「メリー?大丈夫か?」
「え、ええ。」
「とりあえず、ドアが直るまで買い物行こうか?」
僕はメリーの手を引いて商店街へ向かった。
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