第5章-5
猫たちは予約時間が終わるのを
「おばはんは今日も《オークラ》で買い物してたぜ。色からするとナスとピーマンが入ってたんじゃないかな。ま、中華料理でもつくるんだろうよ」
「おじちゃんは庭でバナナ食べてたよ」
「お
「あのおばさん、
「あそこの
「婆さんはえらく
ふうむ。こりゃ、なんとかなりそうにないかもな。蓮實淳はしゃがんだまま考えている。その後頭部を見つめ、カンナは首を振りまくっていた。
「一応お訊きしますが、昨日の夕食はなんでした?」
火曜に蓮實淳は訊いた。
「ハンバーグでしたよ。主人が好きですから」
金曜にも同じように訊くと、「お
「なるほど。やはりまったく違う物が置かれてるってことですね」
「先生、それは言いましたよね? あれは家から出てるものじゃないんです」
わかってるって――そう思いながら蓮實淳は電話を切った。「一応」って言っただろ? 聴いてないんかよ、まったく。
けっきょく彼はほぼ手ぶらで蛭子家へ向かうことになった。まあ、それこそ一応の情報は得られた。後は
「ね、ほんとに悪霊を
「ねえ、どうなのよ。悪霊と戦ったりするの? その、こう、エイッ! て感じに背中
「なんだよ、そのエイッ! てのは」
「だって、お祓いってそういうもんでしょ。あとは
「してるじゃないって言われてもな。それって、どこで誰が吐き出してるんだよ」
「映画とかでよ。この前、テレビでも『エクソシスト特集』ってのやってたし」
カンナは立ちどまった。表情には明らかな
「っていうか、俺は聖水なんて持ってない。そんなの知ってるだろ?」
「まあ、そうだけど。でも、じゃあ、どうやってお祓いするの?」
蓮實淳は腕を組んだ。そうやって、からかう
「どういう方法でやるかは着いてからのお楽しみってとこかな。――ああ、そういや、君にお願いしたいことがあったんだ」
「お願い? どんなこと?」
「うん、
「祈りのダンス? なによ、それ。だって、そんなの教わってないし」
カンナは
「
「冗談? ほんと、あなたってたちが悪い」
「君はいつも通りでいい。とにかく、俺の横にいてくれ」
そう言われるとカンナはうつむいた。それからはなにも言わなくなった。
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