第3章-7
というのが蓮實淳のすべての〈能力〉――それがいかなるもので、どのようにもたらされたか――の説明だ。それと、どうして占い師になったかも理解していただけたと思う。
いや、理解までは
さて、千春に言ったのはまったくの出まかせであったものの、彼は「うん、占い師も悪くないな」と思うようになった。猫の声を聴け、他者の経験を見ることができる力。これを使うとなれば占い師が最も適当なんじゃないか――とだ。
まあ、一度だけの成功で判断するのは
幾人かの友人を失いはしたものの、彼は自信を深めた。これなら仕事を見つける手間も
彼は『蓮實淳の占いの
ところで、千春につきまとっていたストーカー男がどうなったかも念のため書いておこう。
彼は猫たちに
『お前をずっと見てる。お前は七月十二日にやよい
『お前をずっと見てる。お前は七月十四日に
『お前をずっと見てる。お前は今日もジョギングしたな。走った後でアクエリアスを飲み、ペットボトルを
手紙を受け取った男の顔つきまで猫は報告してくれた。「すごくびっくりしてたよ」とか「口あけたまま固まってたぜ」とかだ。蓮實淳は
かくして、その男は遠い町に引っ越していった(会員の振りをして勤め先に電話をかけると、「彼は
蓮實淳は深い愛情によって、千春を取り巻く悪の影を払ってやったつもりだった。ただ、それにもかかわらず彼こそストーカーと
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