第9話 山の上で

ふと見えるもの、みんな見てると思ったけど実は見えていなかった。

なぜ自分だけ見ることができたのだろう?なにか伝えたいことがあるのだろうか?

これは自分が職場の調査で山に行ったときに体験した話です。


調査には自分と後輩のR、上司のIさんの3人で行きました。

山での道はRの地元ということでRが運転をおり、自分は特にすることがなかったので景色を楽しんでいました。景色を見ていると結構な頻度で車が駐車されていました。

自「この道ってよく路駐されちょっと?」

自分が不思議に思ってRに聞くと

R「いえ、ほとんど人来ない道ですよ。」

と、返された。

I「ひょっとしたらキャンプブームやからキャンプに来とるかもしれんなー。」

と、明らかにキャンプ出来るようなところではないがIさんが冗談で言ってきた。ちなみにIさんの趣味はキャンプなどのアウトドア系だ。


そんな話をしていると山の頂上についた。

I「それじゃあ二人で機材の準備をしといてくれ。俺は周辺の写真を撮ってくるから。」

と言ってIさんは報告用で使う写真を撮影しにいった。

自「それじゃ、やるか。」

自分とRは車の荷台の方で機材の準備をしにいった。車はトラックタイプで後ろコンテナなどではなく布で覆われている。


準備をしていると

タッタッタッタ!

と、誰かが車の後ろまで走ってきた。

後ろの布は下ろしていたので布の下だけ見えたが橙色のズボンが見えた。高さからして子供だろう。

確認しようとすると

タッタッタッタ!

と走り去って行った。

自「何だったんだ?」

俺が言うと

R「何がですか?」

と返してくる。

自「今こっち走ってきた子ども。タッタッタッ!って来たやろ。」

R「ちょっ!何怖いこと言ってるんですか!誰も来てなかったやないですか!」

俺が言うとRは驚きながら返す。

どういうことだろう。Rは全く気づいていなかったらしい。まぁ、深くは考えずに作業を続けた。


少しするとIさんが帰ってきた。

I「準備終わった?」

自「はい。終わりました。」

と作業の終了報告をした。

R「ちょっとIさん、聞いてくださいよ!○○さんが変なこと言うんですよ。」

RがさっきのことをIさんに言うので俺も細部を話した。


I「そうか。さっき色んなところに車止まっとったろ?あれ青年団の車で3日くらい前から行方不明の子どもを捜索しとるらしいぞ。」

Iさんの言葉に自分とRは顔を青くした。

自「子どもの特徴とかあるんですか?」

自分がIさんに聞くと

I「いや、特には聞いてない。まぁ、俺たちにできることはないからとりあえず調査して帰るぞ。」

と、とりあえず全部忘れて調査をして山を下っていった。


自分には見えたがRには見えなかったことを考えるともう子どもは亡くなっているのだろうか?

だとしたら何かを伝えに現れたのだろうか?はたまた自分の職業が子どもがよってくるものなのでそれでよってきただけなのだろうか?


みなさんも見えたものに違和感を感じたら周りの人に確認してみてください。ひょっとしたら見えていたのは自分だけかもしれません。

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