第12話 ミニゴーレム、買っちゃった〜
それにしたって、エレキテルの文化水準は僕が予想してた以上に高かった。
すでに乾電池とかあるんだから、充電器の発明には、さほど手間はかからないんじゃないかな? 三千万もあれば、どうにかなるだろう。
まあ、足りなかったら銀行からおろせばいいんだしね。なにしろ、僕は銀行に一千億円の貯金があるのだ。ちょっと歩くだけで十億ずつ拾うし。
「ミニゴーレムキット一式ください」
「は、はい! ありがとうございます」
他のアイテムもアイロンとか、湯沸かしポットとか、どう見ても家電なんだよなぁ。
「ほかのは何?」
「ライターは戦闘中、使用者の攻撃力を一ターンのみ五倍にあげるアイテムです」
「五倍?」
「五倍です」
「一個いくら?」
「百円ですね」
百円ライターか!
「五百個ください!」
「三万五千円になります」
「虫よけスプレーは?」
「ワールドマップ、ダンジョンで一時的にモンスターを出なくさせるアイテムですね。魔物の嫌いな匂いを周囲にふりまきます。五十円です」
「戦闘がめんどくさいときはいいかな。百個ください」
「三千五百円になります」
「扇風機は?」
「風の力を利用することで、戦闘中一ターンのみ、使用者の素早さを十倍にできます」
「それも五百個ください」
「七万円になります」
「へぇ。これはライターの二倍の代金なんだねぇ」
僕はどんどん買っていく。買いながら、その場で蘭さんやアンドーくんにも目分量で三等分ずつわけてあげる。もしもパーティーがバラバラになったとき、便利なアイテムをそれぞれが持ってたほうがいいからね。
「じゃあ、アイロンは?」
「アイロンは戦闘中、使用者の防御力を——」
「それも五百個ください」
「三万五千円になります」
「湯沸かしポット!」
「あたたかい飲み物を飲むことによって幸福感を得られ、その戦闘中ずっと使用者の幸福値が五倍あがります」
「えっ?」
「えっ?」
「幸福値が?」
「幸福値が」
「戦闘中ずっと?」
「戦闘中ずっと」
「五倍になる?」
「五倍になります」
めちゃくちゃオウム返ししてくるなぁ。この店員さん。
いや、そこじゃない。大事なのは、そこじゃない!
「じゃあ、僕の幸福値99998が戦闘中にそのアイテム使えば、マックスふりきるんだ?」
「ふりきりますね!」
「それ、千個ください」
「二十一万円になります」
「ついでによくわからないけど、デジタル時計ってやつも五百個ください」
もうこの店のアイテムは全部スゴイんだってわかった。
たしかに、効果は単体だし、ほとんどの商品が一ターンしか効かない。でも、通常のステ上げ魔法は上級呪文でも、一回では三割増していどしかあがらない。1.3倍だ。それがいっきに五倍とか十倍にあがるって、この効果のスゴさがわかってもらえただろうか?
「ひゃー。いっぱい、買っちゃった〜」
でも、その代金のほとんどはミニゴーレムだけどね。
すると、ミニスカポリスのコスプレした店員さんは厳かな口調で告げた。
「かーくんさん。今のお買い物で、シルバーカードのスタンプが満タンになりました。かーくんさんにはゴールドカードをさしあげます」
ああっ! ゴールドカードだ。ずっと欲しかったゴールドカード。なかなかスタンプたまらなかったゴールドカード。やっと……やっと手に入れたんだ。
お金は持ってるよ?
でも、アイテム五百万円ぶん購入しないとスタンプ満杯にならないんだよねぇ。アイテム五百万って、買っても買っても、なかなか達成しなかった。
長かった。ここまでの道のり。まさか、オモチャのロボット一体で、かるく到達するなんて。
僕はお姉さんのさしだす金ピカに光るカードをありがたく受けとった。
これで、王都にある、世界に一つしか存在しない珍品や貴重品だけを集めたゴールド会員限定の店に入ることができるんだー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます