第6話「スキルレベルアップ」
モンスターシュートによって擦りつけられた大量のコボルトに苦戦している最中、蓮のレベルが上がり、スキルレベルも上がった。
レベルアップに浮かれる暇もなく、敵の攻撃の
「何でもいい! この状況を変える何か……」
そう叫びながらウィンドウを素早く下へスクロールすると改変効果が2つ付けれるようになり、新しい改変内容が追加されていた。コマンドカットという文字も見えたがこの状況では使えないと判断した。
(これなら……上手くいけば……)
蓮はロングソードにのみ意識を向けてスキルを使った。
「カスタマイズ[改変]ATK+、チェインをロングソードへ!!!」
ロングソードからは紫と青のサークルが出現し、すぐに1つに合わさるとサークルは消えた。
「葵は後ろに下がってろ!」
蓮はすぐさま集団の中腹に入り込み、1体のコボルト目掛けて全力の一撃を叩き込んだ。
「まとめて倒れろぉぉぉぉぉぉっ!!」
剣はコボルトの頭から入りそのままコボルトの体を半分に両断した。
「グギャァァァァァッ!!」
するとコボルトの体から白い波紋のような物が周りへ広がっていく。
「「「「グギィィィィィィィィッ!」」」」
その波紋に触れた敵達も同様に大きな悲鳴を上げて一斉に消滅した。
「はぁ、はぁ、はぁ、全部倒せた……のか?」
チェインの効果は凄まじかった。
ATKも合わせて組み込んだおかげで、ただの一振りがとてつもない威力の範囲攻撃技へと昇華したのである。
クールタイムがあるから一時間に一回しか使えないがそれでも十分である。
葵は目の前の光景に
葵同様、五十嵐も目の前の光景が信じれないという表情でこちらを見てきた。
「くそっ、スキルが使えないのは嘘だったのか!?」
「いや、本当さ。二か月前はな」
「二か月? たった二か月でこんな事が出来てたまるか!! いったいどうやったんだ!」
五十嵐の言葉はもっともである。普通2ヶ月そこらでここまで強くはならない。
しかし、単純にレベルが上がったからステータスが上がり強くなったわけでは無い。
強いのはこのスキルだ。レベルの概念を無視してステータスを上げることが出来るなんて信じられないだろう。
最早チートスキルといっても過言ではない。
現にスキルがこの世に発現してから3年が経ったがカスタマイズなんてスキル世の中に公表すらされていない。
1人でもいればタワーで噂になってるだろうから俺だけのユニークスキルと考えた方が
「五十嵐、俺は何もお前に話すつもりは無いよ。だからここで痛い目に遭いたくなけりゃ早くどこかへ行くんだな」
「少し強くなったからって調子に乗りやがって! 次はこんなもんじゃ済まさねーからな……」
どこか殺意とも
「蓮! 大丈夫!?」
「ああ。それより葵は大丈夫か?」
「全然平気! だけど、蓮がいなかったら危なかったよ! ありがとね!」
葵は俺の方を見て満面の笑みを浮かべた。
反則だ。
これは俺も含めて99%の男が何かしら意識してしまうだろう。
蓮は照れを隠すように話題を変えた。
「それより、さっきの数倒したら葵もレベル上がったんじゃないか?」
「えと、あっ! 10レベルになったよ! スキルもレベル上がってる!」
「剣戟レベル2、上昇値アップと連撃って技が増えてるね!」
「連撃は、同じ箇所への攻撃でダメージが上がるみたい」
「面白い効果だな! 葵なら狙って攻撃当てれそうだし今度試してみろよ!」
「そーだね! 今度早速試してみようかな」
「おう、ふわぁーーっ」
意図せず大きなあくびをしてしまい、ふと時計を見ると時刻は22時を回っていた。16時からタワーに入っていたので6時間緊張状態の中、戦闘をしていたことになる。
眠くもなるわけだ。
レベルも上がりキリが良いのでそのまま下の階層に降り家に帰る事にした。
帰る道中で葵と次の目標について話していた。
「レベルは10になったけどこれからどうするの?」
「次は第5階層の攻略ってとこかな。けどタワーは5階層毎にフロアボスって呼ばれるボスモンスターが存在するみたいだから少し情報を集めてから挑みたいな」
「それに自分のスキルについても少し調べておきたいことがあるんだ」
「そーゆーことなら私も準備したいものが色々あるから三日後にまた集合でどう?」
「了解!」
タワーを出た蓮達は足早にそれぞれの家に向かった。
◇◇
――二日後
蓮はゲーミングチェアにどっしりと腰を
『タワーWEB情報交換板』とはタワー内での攻略情報や最高到達階層、発現スキル情報などが毎日更新されている有志のサイトである。
以前も自分のスキルについて調べるためスキル一覧を見たことはあったが、やはり今見ても俺のスキルは載っていなかった。
「ふーん、なるほどー。だいたい分かったけどこれは結構きつそうだな……」
今調べているのは5階層のフロアボスについてだ。ボスの名前は『ボスゴブリン』というらしい……そのまんまの名前という突っ込みはさておき、これが中々に大変そうなのだ。
まずは、盾持ちに加えて素の状態で葵と同等かそれ以上に高いAGIとATKを持っている点だ。
単純に攻撃で盾を壊せば良いというわけでも無いらしく、盾を壊すと能力値が、破壊した人と同等のステータス分上乗せされるという最悪の罠が仕掛けられている。
自分が壊してしまった場合、恐らくスキル効果で上がった値そのままが反映されてしまうと思うと想像すらしたくない。
これについては戦いの中で上手く対応しながら戦うしかないだろう。基本的には相手の攻撃を避けてからカウンターで本体へ反撃という形になると思う。
そしてもう一つ、こっちが厄介なのである。ボスエリア侵入と同時にボスを取り囲むようにゴブリン兵士が大量に出現するらしい。ゴブリン兵士はゴブリンの上位種でこちらも盾持ちである。
モンスターシュートの時と同様にチェインを使い範囲攻撃をすれば…とよぎったが、恐らくボスとの距離が近いためボスの盾まで壊してしまうだろう。
「んー、どう考えても周りのゴブリン兵士を倒してからじゃないとボスまで辿り着かなそうだなー」
……
「よしっ、あとは始まってから考えるか! ピンチになった時のために退却についても考えとかないとな」
次にスキルについてだが、これについては昨日みっちりと確認した。
レベルが上がった事による変化点は『コマンドカットの習得』と『改変付加数が二つになった事』そして『改変効果にAGI+とチェインが追加された事』の三点である。
コマンドカットはLv.1の改変内容のみを付加する場合なら言葉にして発しなくても対象を意識するだけで良いというもの。これは咄嗟の戦闘や戦闘中のスキル掛け直しの際に使えそうである。
チェインについては実際の戦闘の中で試せたのが大きかった。効果範囲自体は攻撃を当てた対象から半径八メートル程と思っておけばいいだろう。
ダメージ量は恐らく等倍だと思うが、こちらはダメージの値が表記されるわけでも無いので詳細は分からない。
AGI+の効果はそのままだった。やはりのステータスが丁度100上昇していたのでこれまでのステータスアップ系の類と同じと見て間違いない。
改変付加数の追加は単純に一つの対象に二つまで改変効果を付加できるようになっていた。しかし、対象に二つとも同じ効果を付けることは出来なかった。
頭の中で自身のスキルと使い方については大体まとまった。
「ざっと、こんなもんだろーな」
一通りまとまったところで日付が変わろうとしていたのでベッドに入り、眠りについた。
(明日はいよいよ第5階層か……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます