第15話 元宮廷魔導士第1席
(それを背負うことになるかもしれないってことだよなぁ、俺)
あぁ、努力しないと‥‥‥。
そんな俺を担ぐじいちゃんに向かってくる人物が3名。
じいちゃんがいち早くそれに気づき、体の向きを変えたので、その人物たちが視線に入る。
うち男女二人は学生服のようなもの着ており、顔立ちもまだどこか幼い。
そしてもう一人は白髪金眼で見たことのあるような顔をした美しい女性。
(父上に似ているのか?)
その女性が口を開く、
「マクシム、その子がアルテュールかい?」
じいちゃんが何か言う前に俺が口を開く。
「そぅあよ」
「まぁ、賢い子だねぇ。初めまして、私はフリーダというものさ。あなたが今乗っている爺の妻であり、ベルトランの母親、つまりあなたのばあちゃんさ。会いに行けずにすまなかったねぇ」
俺はそんなの知るわけないので一応、確認のため真横にあるじいちゃんの顔を見る。
ぷいっ
(ぷいっ、じゃねえよ。説明責任を果たしてくれ、じいちゃん)
そんなじいちゃんがつくり出しやがった気まずい雰囲気を若い声が切り裂く。
「マクシム様、フリーダ先生、アルテュール様、発言失礼致します。自分はブレンと言います。王立魔導学園でフリーダ先生に教えを受けていました。近いうちにこちらへ仕官することになっております。」
「あっ、わ、私はイゾルダと言います。えと・・・、私も同じく王立魔導学園でフリーダ先生に師事を受けていて、仕官するためにこっちに来る予定でしゅっ」
くすんだ赤色の髪を持つ真面目そうな少年があいさつをし、その後明らかなドジっ子属性の藍色の髪の女の子が嚙みながらも一生懸命挨拶していた。
二人とも年のころは15といったところか。うちに仕えることが嬉しいのか目がキラキラしていた。
(…眩しいぜ)
まばゆさから目を逸らし、チラッと会場の中心部へ向けるとそこには貴族の顔をしている父上と母上がいる。立派に務めを果たす姿が何ともカッコいい。
(俺もあんなふうになれるのかなぁ‥‥‥まぁいま悩んでも仕方ないか。)
気分を変えるべく、たどたどしい言葉でばあちゃんに話しかける。
「おばあちゃんはいちゅから
「おやまぁ、本当に賢い子だねぇ。そうだねぇ、私はねこの二人が言った王立魔導学園と呼ばれるところで10年ほど前から働いているねぇ。まだひよっこさ。そこの爺から何も聞いていないのかい?」
「じいちゃんとあうのきょうはじめて」
それを聞いたばあちゃんがからかうような声で、
「へぇ~、マクシム良かったねぇ、孫に嫌われないで。なに、少しね・・・。オレリアに最初構い過ぎて嫌われてしまったことを思い出してねぇ、まぁ今仲はいいがね」
と2人の少年少女と実の孫の前でじいちゃんの恥?をぶちまける。
「・・・」
じいちゃんは何も言い返さない、怒っているというより拗ねている感じだ
(なるほど、
頭の中にメモる。
「あのあの、フリーダ先生はすごい方なんです。あの宮廷魔導士の第1席まで上り詰めた傑物なんですよ!女性の魔法士の中には、フリーダ先生に憧れて、魔法学の門を叩いた人がかなり多いんです」
イゾルダだったか?がどうでもいいことを考えている俺の沈黙を勘違いしたのか、いかにばあちゃんがすごいのかを身振り手振りで教えてくる
しかし―――
「不敬だぞイゾルダ―――申し訳ありません、マクシム様、アルテュール様。
同じ魔導学院生としてお詫び申し上げます。この馬鹿が失礼いたしました。」
ブレンが腰を90度に曲げてお辞儀する。
自分がやってしまったことに気づいたドジっ子ちゃんイゾルダが慌ててそれに続く。
いきなり謝られた俺はというと
(足して2で割るとちょうどいいな~)
などと超失礼なことを考えていた。
何というかブレンは真面目過ぎるのだ。対するイゾルダはちょっと危なっかしい印象を受けるが、そも発言したのは俺の様子をしっかり見ていたからでありその考え自体は決して悪いものではない。やり方が少し悪かっただけだ。二人合わせて丁度いいと考えてしまうのは自然なことかもしれない。
流石にこのままではいけないと思い、「いいよ~」という。
というかじいちゃんなんか反応してあげてよ。ブレン君今、一人でしゃべってた恥ずかしい子になってたじゃん。
「すまないねアルテュール、びっくりしただろう。イゾルダは少し抜けたところがあってね。これでも、一応主席なんだよ。ブレンは次席さね」
ばあちゃんが言ったことに驚く。
(えっ、
顔に出すこと=失礼なんで、決して顔には出さない。
(てかじいちゃん全然しゃべらんな、ちょっと眠くなってきた、1歳の身体じゃこれが限界だな、いろんなことあったし)
じいちゃんの頭に身を預け、瞼を閉じる。
じいちゃんが俺を抱えてくれた。これくらいは許されるだろう
意識を手放す直前、頭の中に再度メモを、
(俺のばあちゃん元宮廷魔導士第1席っと)
「国王陛下のお言葉である!」
いきなりの大声が会場を駆け抜ける。
ぼやけた頭で、なんだ、と思った瞬間―――
「すまん」というじいちゃんの言葉とともに膝立ちさせられ、頭を優しく下に向けさせられた。
見えてはいないが、周りにいる人も同じ格好をしていると思う。
この小さな身体で膝立ちは辛すぎる。
(なんぞこれ、眼ぇ覚めちまったよ)
―――俺の集会はまだ終わらないらしい。
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