第15話
市民からの要望もあり、エクスを日本から移動させるように政府から到達が来た。やはり、宇宙人セクター達の攻撃目標はエクスであり、そのとばっちりで被害を被っているのでは無いのかとの意見が大きくなっていた。そして、勿論そのパイロットの保護を続ける必要は無いのではないかとの議論が政府関係者の間で交わされているようである。ただ、日本以外の国でも、エクスを受け入れようなどという国は無かった。
「レオ君、エクスをどこかに隠すとかは出来ないのかい?」大井戸は少し頭を抱えながら聞く。
「どうして、エクスを隠す必要があるのですか
?その必然性が解りません」レオの返答を聞きながら一郎も、確かに、昔のロボットアニメのように秘密基地も無いし、今更隠す必要は無いと思った。
「セクターから隠すのでなくて、どちらかといえば日本国民の目に触れない場所に移動させてもらえないだろうか?どうも、エクスが憎しみの象徴のような扱いになっているんだ」大井戸はため息をつく。
「どうして、俺達は皆を守る為に戦っているのに、そんな風に思われるのでしょうか?レオだって最近は、かなり気を使ってるようなんでふけど……」一郎の言うとおり、レオにも少しずつだけれども、無用な被害を出さないという気持ちが芽生えているような気がする。
「それは、僕にも解るが……、無くした信頼を取り戻す事は大変なんだ。以前の戦いで家族を無くした人達にとっては、エクスも憎しみの対象でしかないんだ」
大井戸の話を聞きながら、一郎は母達の事を思い出していた。たしかに、エクスの戦いによって多数の人達が犠牲になった。しかし、やり方は間違っていたのかも知れないが、それはセクターから町を守ろうとした結果であった。それに対して恨みを買って焼き殺された一郎の家族の事は、どう考えればいいのか。一郎も激しい怒りはあったが、それを誰にぶつければいいのかは彼には解らなかった。
「一郎……」レオは一郎の様子が気になったようである。
「ああ、海の中なんてどうかな?それなら皆の目にもつかないし……」一郎は、誤魔化すように提案する。
「そうだな、それが良いかもしれないな。」大井戸は手のひらを拳で叩いた。
「解りました。それではエクスに海の中に姿を潜めるようにお願いします」レオはイヤリングに触れて、なにやらぶつぶつと話を始めた。しばらくすると、少し遠くに見えた赤く大きなロボットが空中に浮かび上がったかと思うと、海の方向へ飛んでいった。
「セクター達の目的は、この地球です。彼らは住めなくなった自分の星を捨てて、移住できる場所を探していて、この星を見つけたのです。エクスを隠したところで、彼らの攻撃は止まないでしょう。セクター達にとってエクスは地球征服における、まさに目の上のたん瘤なのです。」それは、レオなりに世間で言われている、セクターが本当はエクスのせいで地球に現れたのではないかという疑問への、回答なのであろう。
「セクター達の星は住めなくなったのか。なぜなんだ?」一郎は素直に思った疑問を口にした。
「それは、彼らの星の資源か枯渇してしまったからです」レオは端的に返答をした。
「進んだ文明の末路というやつか……」一郎はエクスが飛んでいった海の方向を見て深いため息ををついた。
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