「トランス・ワールド」(SF/スリラー)

「トランス・ワールド」(2011 アメリカ 89分)

監督 ジャック・ヘラー

脚本 ショーン・クリステンセン ジェイソン・ドラン

出演 スコット・イーストウッド、サラ・パクストン、キャサリン・ウォーターストーン


 連れの男とコンビニ強盗を続ける女性、ジョディ。

 ある日、強盗に入ったコンビニのレジにある金庫が気になる。

 ジョディは店員に金庫を開けろと言う。

 しかし、店員は、


「キミの人生それでいいのか?君は金庫の中身を気に入らないだろう」


と言う。

 その言葉に逆上したジョディ。彼女は店員に向けて銃を撃つ。



 場面変わって、どこかわからぬ森の中。

 妊娠中の女性、サマンサが森の中をさまよっていた。

 彼女は旦那と一緒に車に乗っていたが、車がガス欠。旦那はガソリンを手に入れるためにどこかへ行ったきり、戻ってこなかった。


 森の中を歩き続けるサマンサは、古い小屋を見つける。

 そこで、トムという若い男と出会う。

 トムは優しい青年で、身ごもっているサマンサを気遣う。彼も車のトラブルで、この森をさまよい、小屋を見つけたのだ。


 しばらくすると、脱走中のジョディもやってきた。

 彼女はコンビニ強盗をした後、何故この森にやってきたのかがわからないでいた。



 とりあえず、三人は協力し合うことにするのだが、話が噛み合わない。

 三人とも、距離的にかなり遠い場所からやってきて、今、同じ森の中に居るというのだ。

 そして、いくら森の中を歩き回っても、何故か、また同じ場所(小屋の前)に戻ってきてしまう。

 なにがなんだかわからず、混乱する三人。


 そんな時、ジョディがコンビニから奪った札束を落としてしまう。

 札束には「1984年(製造日)」と表記されていた。

 サマンサは、その札束を見て、


「それ、ニセ札でしょう?だって、今は」


 この彼女の言葉で、状況が一変する。


 それぞれ遠い場所からやってきて、森の中に迷い込んだ三人。

 一体、彼らは何故この小屋に集まったのか?

 そして、彼らの身になにが起きているのか?



 正直なところ、派手さもなく、地味で低予算感の漂う映画です。

 だが、この脚本は絶品。

 前半はややスローペースで話が進みますが、「札束」から物語が急激に加速。

 もう目が離せない。一つの違和感から謎が生まれ、謎が謎を呼ぶ。

 そして、謎が解かれていくにつれ、明らかになる真実。

 予想だにしなかったエンディングへと繋がって行く。


 本当にこの脚本は凄い。よくあるシチュエーション系スリラーかと思ったら、謎が解けるごとに映画の内容がスリラーからヒューマンドラマへと変わっていきます。

 すべての謎は、あのエンディングのためだった。

 これぞ、隠れに隠れた名作。

 この映画「トランス・ワールド」はオススメです。

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