創造

藁観

不快だ…。

ただでさえつまらない世界なのに、熱で寝込んで何も出来なく、おまけにこの倦怠感。

俺の人生にはもっと面白い進展が必要だ。

そうでもしないとこのつまらない世界から抜け出せない。

そのきっかけを与えない神はなんて不公平なんだろうと思う。

いや、神なんていたらこの世界ももっとマシか。



怠い…。

今すぐこの息苦しさから抜け出したい。

そんな事を考えながら、俺は何かに吸い込まれるように、スッと眠りに着いた。




気づいた時には自分は長蛇の列の先頭にいた。

俺はなぜこんな所に…。

更に驚いたのは初めて見るような景観の町と現代日本の物とは思えない人々の服だ。

建物はほとんどが銅のような色の金属でできており、そこらじゅうにパイプやどこかに繋がっているであろうギアが見られる。服は粗末なローブや1900年代の工場を思わせるような作業着などが多いが統一性はない。

よく見るとロボットのようなものも歩いている。動きが自然すぎて一瞬生物だと思ってしまった。


「あの…大丈夫ですか?」


話しかけて来たのは目の前の机の奥に座った女性だった。


「あぁ、多分」


女性は心配そうにこちらを見ながら何やら説明を始めた。


「はじめまして。転移者登録窓口係員のモカと申します。この紙に名前と出身大陸とご自分のゴーレムの能力をお書き下さい。」


「ゴーレム…ってなんだ?」


「あ、もしかして機械文化圏外から来られた方ですか?申し訳ございません。では、そこの説明も必要ですね。」


「我々は10才になると教会で、創造神からのギフトとして一人一体のゴーレムを授かるんです。」


ここは自分のいた世界では無いと確信する。


「そのゴーレムは人型だったり、特殊な武器だったりあるいは実態が無い事もあります。そして、この巨大なゴーレムの上にある遺跡都市ガレムでは、地下に大量のエネルギーを有しています。そのエネルギーは我々の生活に必要な物に変換することが出来、人々はそれを求めてゴーレムの体内を探索します。まぁここに来たという事はご存知でしょうが。」


「いや、実はここに来たのは自分の意思では無いんだ。気づいたらここに…」


また心配そうな目で見られた。


「そうですか…ちなみに出身大陸は言えますか?」


「それもなんだが、俺は多分この世界の大陸からじゃなくて別の世界から来たんだと思う。」


「あぁわかりした。ここではないんですが異世界から来たという方は他にもいらっしゃったそうです。確か東の大陸で2000年前に。」


「俺はどうすればいいんだ?」


「まず仕事をしないとですね。この国では生産の代わりに探索で生活をしているので、探索業か宿や酒屋の接客業しかありません。どちらが良いか選んで頂けたら、こちらでギルドに掛け合うこともできますよ。」


答えはもちろん決まっている


「探索業だ」


つまらない人生を変えてくれそうなその響きに迷わずこちらを選んだ。


「もう少しゆっくり考えて大丈夫ですよ?」


「いや大丈夫だ」


「わかりました。それでは探索者ギルドで登録をしてください。私のゴーレムに案内させますので。ギルドは教会と併設されているのでゴーレムも授かって下さい。」


「ああ、わかった。親切にありがとう。」


「いえいえ、仕事ですから。それでは、創造者の加護があらんことを。」


そういうと彼女は足元に隠れていた猫のようなゴーレムに指示を出し俺はそれについていった。

さっきも思ったがやはり不思議な光景だと思った。


探索者ギルドとやらには5分で着いた。


そこでモカさんのゴーレムと別れ、ギルドに入った。




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