第20話 出雲大社に行ってみた
出雲大社前駅は、売店を備えた有人駅だ。駅舎は洋風建築のかわいらしい建造物であった。天井は高く、開放感がある。また、ステンドグラスが散りばめられており、教会のような雰囲気を持つユニークな駅だった。
隣接する施設には、デハニ50形52号車が鎮座している。僕はばたでんのレジェンドであるデハニ50形を堪能すると、去り際に柏手を打った。そして、深く一礼。周りの観光客からは好奇の目で見られてしまったが、あまり気にならなかった。それだけ、この車両は神々しかった。いたく満足した僕は、出雲大社に行くことをやめることにした。
神様に出会えた感動を噛み締めながら駅舎に戻ろうとすると、女子大生らしき3人組の女性グループがワチャワチャしながら出雲大社の方へ向かっていく様子が視界に入った。すぐに考えを改め、出雲大社に向かう英断を下したことは、言うまでもないだろう。
念のために言っておくが、女子大生グループに心を奪われて出雲大社行きを決めたわけではない。あくまでも、日本を代表する神社にお参りし、その雰囲気をYouTubeの視聴者に味わってもらうためだ。
出雲そばのお店やら、お土産店やら、参道には数多くのお店が軒を連ね、とても賑わっていた。
鳥居をくぐり、本殿に歩みを進める。京都に住んでいる割には、あまり寺社仏閣には興味がないため、神社の知識は乏しい。しかし、これは京都人あるあるだ。
僕はスマホを取り出して、出雲大社のお参りのしかたを検索した。どうやら、出雲大社では二礼四拍一礼が基本らしい。つまり、2回礼をして、4回手を叩き、最後にもう1回礼をする。出雲大社は縁結びで有名だが「どうか逮捕されませんように」という、まるで関係のないお願いをした。
しかし、僕の願いはあっさりと却下されてしまう。
お参りを終えた僕が振り返ると、そこに3人の男達が立っていた。その1人は、もはや、おなじみとなった真田刑事だ。3人の男達はなぜか鬼の形相で僕を睨んでいる。
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