第11話 珍客
瀬戸号を見送ったサンライズ出雲号は、6時34分に岡山駅を出発する予定だ。部屋に戻った僕は豪快にあくびをすると、腕時計で時間をチェックした。既に6時35分をまわっている。しかし、発車する気配はない。すると何やらプラットホームに人が集まり始めたではないか。ある者は心配そうにサンライズを見つめ、ある者はスマホで撮影を始めている。僕は窓ガラスに顔をくっつけてホームの様子を確認した。すると、4人のスーツを着た男性、そして、紺色の作業着のような服を着た5人の男女が駅員さんに案内され、慌ただしく僕の個室の目の前を通り過ぎっていった。作業着を着た人々は重そうな銀色のアタッシュケースを手にしていた。サンライズには似合わない連中である。そして、紺色の作業着の背中の上の方には白字で岡山県警鑑識と記されていた。僕は声を失った。9人の男女は急いでサンライズ出雲号へと乗車していった。
警察と思われる合計9人の珍客を乗せたサンライズ出雲号は、定刻を20分ほど遅れて出雲市駅へ向けて出発した。
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