第32話 敵

「ダイチ君っ!そっち頼む!」

「はいっ!」

 リアスさんが声をあげた直後、俺達の背後から新たな敵が出てくる。

 完全な不意打ちの攻撃だったが、リアスさんが事前に教えてくれたおかげで俺は驚くことなく難なく対処する。

「そっち手伝います!」

 背後から襲ってきた敵を撃退した後、俺はすぐに正面で戦っているリアスさん達の援護に向かう。

「すまない助かった!」

「いえっ!」

 敵のアジトである地下室に侵入してから数分経ったが、あれからどんどん敵が襲ってくるようになっていた。

 どうやら他の入口から入った仲間達も敵の襲撃にあっているようだった。

 リアスさんの話では、どうやら敵は用心棒のよなものを雇っているのではないかと言っていた。

 じゃないとこれだけの人数はあり得ないだという。

 どこにそんな資金源があるのか分からないけど、とにかく一度作戦を決行した以上はとにかく進むしかない。

 もし今回諦めてしまえば逃げられてしまい、捕まえることがさらに困難になるしな。

「皆少し急ぐぞ。情報じゃ出入口は全てこちらで抑えているはずだか、敵の主力は絶対に中にいるはず。逃げられる前に捕まえるぞ」

「はいっ!」

「……くそっ!また来たぞっ!」

 しかし先を急ごうとした直後、さらなる敵が現れる。

 しかも今回は数人規模ではなく十人を超えるほどの人数だった。

「ダイチ君!背後は任せたぞ!」

「はいっ!」

 さらに今回は俺達を囲うように現れる。

 それにしてもこれじゃキリがない。

 いくら敵が逃げないからと言って、このままひたすらに戦い続けてしまえばすぐにばててしまうぞ。

「じゃあ行くぞダイチ君っ!」

「了解ですっ!」

 しかしそんな弱気なことは言ってられない。

 とにかく目の前の敵を倒すしかないんだ。

「いくぞっ!」

 それに何より、これは修行にもなる。

 今までダインさんに修行してもらっていたけど、こうして実戦で力を試せるのは正直かなりワクワクする。

 油断はしてはいけないんだけど……、でもまぁとにかく今は全力でいくだけだっ。

「――きゃっ!」

 ……しかしその瞬間エリの悲鳴声が響く。

「エリっ!!?」

 だがその油断がいけなかった。

 俺達が敵に集中している間、その隙を敵に狙われてエリが捕まってしまう。

 しかも敵はそのままエリを奥まで連れていこうとしている。

「エリっ!!」

 俺は目の前の敵を無視してすぐさまエリを連れ戻そうと敵に向かって突っ込んでいく。

 しかし敵の数がさらに増えてしまう。

「くそっ!ダイチ君!ここは俺達に任せて先に行ってもらっていいか!?」

「えっ?」

「頼むっ!僕達もすぐに追いつく!」

「……分かりました!」

 そして俺はリアスさん達に敵を任せてエリを追ったのだった。

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