第18話 イケメン
「君も大丈夫だったかい?」
「は、はいっ。ありがとうございました」
男達が走り去っていくのを遠目で見ながら俺は鎧を着た男にお礼を言う。
「いや、こちらこそ協力ありがとうございました」
反対に鎧を着た男は丁寧にお礼を言ってきた。
こちらとしては何に協力したのかよく分からないけど。
「あの人達追わなくていいんですか?」
「今部下に追わせているから気にしなくていいよ」
確かにこの人の言うように男達の背後にはこれまた鎧を着た人達が追いかけていた。
「それより君ってもしかして最近ダインさんの元で働き始めた子かい?」
「え?あ、はいっ。そうですね」
もしかしてどこかであったことある人か?
というかこんな街中で鎧に身を包んでいる人なんて、知り合いにいないぞ。
そもそも何者なんだ?
「あれ?タイチ覚えてない?リアスさんはパパ達のお店の常連さんだよ?」
「まぁ、無理もないよ。僕がいくのは基本的に遅い時間だからね。タイチ君の話は聞いていたけどこうして顔を合わせるのは実は初めてなんだよ」
「あ、そうなんだっ」
どうやらリアスと呼ばれたこの人物はダインさんの店の常連さんのようだった。
俺やエリは年齢的に夜はお店の手伝いをさせられてないので、いくら常連さんでも合ってないのは当然だった。
しかし、それにしてもこの人は一体……?
もしかして冒険者なんじゃ……?
「申し遅れたね。僕はこの街の衛兵団の団長をしているリアスと言う。今度ともよろしくね」
「あっ、は、はいっ。よろしくお願いします」
衛兵団の団長?
つまりこの人かなり偉い人なんじゃ……。
「それで君達はこれからどうするんだい?今からダインさんのところに行こうと思ってたんだけど、もしよければ送っていきましょうか?」
「う〜ん、私達もちょうど家に帰ろうと思ってたら、お願いしようかな。いいよねタイチ?」
「あ、うん。じゃあそうしようか」
「分かった。それじゃあ行こうか」
そうして小説家を探しに出かけた俺は、何故か衛兵団長のと共に帰路につくことになってしまった。
初対面でなおかつ、すごい立場ということで緊張してたが、何よりさわやかなイケメンフェイスによって俺はこの人とは絶対仲良くなれないと感じた。
……何よりエリが仲良さそうに話しているのを見て少しだけもやもやしたせいでもある。
「――君のその短剣……」
「ん?なんですか?」
「いや、なんでもない。ダインさんの言うように君は将来有望だなとね」
「い、いえそんな……」
しかし家に帰るまでの間、リアスさんは俺ばかりに話しかけてきたせいですごく精神力が削られてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます