第39話 ノーベン

 組んでいたコウスケは舞台から降りた。

 海の近くの喫茶店。

 ヒサノリは、席に座って次の手を考えていた。冷房が効いているため、ひんやりとしている。

「……」

 注文していたパンが届く。

 皿に手をのばすヒサノリ。しかし、別の手がパンを奪い取った。

 あいさつの前にパンをむさぼり食うソウオン。

 もちろん、勝手に食べてはいけない。絶対にマネをしないようにしてください。

「よう」

「なんの用、っと、聞くまでもない、か」

 お互いにカードを見せる。

「カンサ・セプテン!」

「くらえ! カンサ・エイプ!」

 イマジン空間が開き、辺りが紫色になる。戦いが始まった。

 ぐちゃぐちゃになる喫茶店。

 とはいえ、これはイマジン空間。現実の喫茶店は無事だ。空間が消えれば元に戻る。

「なんだと。手強てごわい」

 押されるヒサノリ。

「どうした? もう終わりかぁ?」

「こいつ」

 喫茶店が原形をとどめていないため、外からでもカンサが丸見えだ。

 そこへ、ハナコが現れた。

「カンサ・ノーベン!」

 意表を突くリボンの攻撃で、エイプに大ダメージを与えたノーベン。

「テメェ!」

 ガキンと、大剣がこぶしをはじいた。

 エイプの攻撃を防いだのは、セプテン。そのまま押し合い、にらみ合うふたつのカンサ。

「君は」

「いまは、ソウオンを!」

 ハナコが指示し、ヒサノリがしぶしぶ従う。即席の連携を仕掛けた。

 リボンでけん制し、大剣の一撃を狙う。即席にしては、そつのない見事な連携だ。じょじょにエイプを追い込んでいく。

 建物が次々と両断されていった。

 二体の攻撃で、エイプは劣勢になる。

「おぼえておきやがれ!」

 ソウオンは去っていった。

 カンサをしまい、イマジン空間が消えていく。

 バラバラになっていた喫茶店も元に戻った。

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