第37話 残り八人

 ジャニュと連携するフェブ。

 対するは、ノーベン、セプテン、オクト。

 もちろん、イマジン空間の中。

 カンサロウケとなったジャニュは強大な力を誇り、三人相手でもひけをとらない。

 ハナコとヒサノリが、ほぼ同時につぶやく。

「やるわね」

「なんだと」

 ノーベンとセプテンに対し、フェブが足止めする。残り一体のオクトが、無防備な状態になった。

「いまだ! アラタ!」

 叫ぶミズチ。

 悩んだ末に、特殊な大技を繰り出すアラタ。

「ラストアーツ!」

 オクトに横一文字斬り・改がヒットした。その威力はすさまじく、大ダメージを与えた。

「ぼくはただ、幸せに……」

 溝際みぞぎわコウスケが脱落した。

 バトルロイヤルの参加者は、現時点で残り八人。

「これまでか」

「仕方ないわ」

 ヒサノリとハナコが撤退した。

 そして、ミズチがカンサ・フェブをしまい、アラタがカンサロウケ・ジャニュをしまう。

 イマジン空間が消えていった。紫色が薄くなり、元の色へ戻った。壊れていたカフェも、元に戻った。マスターの口はへの字。

「で、なんだったんだ?」


 もはや薄手の服でも暑い季節。

 アラタが、ネネとササメをカフェに呼ぶ。

 中は冷房が入っているため、すずしい。三人は飲み物を注文した。

「注文しないのか? アラタ」

「ミズチのことを忘れてたぜ」

 ミズチもいる。コーヒーをひとつ追加で注文した。

「ほら。ロウケのカードを手に入れたぜ」

 自慢げなアラタ。

「調子に乗っていると、足元をすくわれるぞ」

 辛辣なミズチ。だが、どこかいらついていて余裕がない。

「すごい。どうやって手に入れたの?」

「マサトからもらってたから、じゃないか?」

 アラタは、持論を展開した。答えは、誰にも分らない。

「ふーむ」

 ササメは何かを考えている。

 力が欲しい。

 アラタをのぞいた三人は、どう見ても焦っていた。

「なんの話をしてるのか、聞くのは野暮やぼだな」

 カフェのマスターは、小声でつぶやいた。

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