楽園

僕と三ノ宮イツキ君が出会ったのは高校に入学したばかりの頃だ。

イツキ君は黒髪に眼鏡をかけている真面目な少年だ。勉強が出来て先生からの人望も厚い。

「岩下から聞いた。変わってる男だったのはお前か」

「は?」

「細かいことはどうでもいい。俺は変わってる奴が好きだ」


岩下さんの部屋にはアノマロカリスのぬいぐるみがあった。

本棚にもカンブリア紀の生き物図鑑が置いてあった。岩下さんは可愛い女の子だが趣味が変わっていた。

岩下さんはハルキゲニアのぬいぐるみを僕に見せる。

「可愛いでしょ?」

可愛いというより変な形の生き物にしか見えない。

「うん…」

当時の僕には岩下さんの趣味が理解できなかった。


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