アンビリカル・ストーリー エピソード3

 遠くない未来、闇社会で恐るべき発明が成された。


 『指紋の改造』が可能になったのだ。


 事態を重く見た国家公安委員会は対策を急いだ。


 

 …ある科学者が、名乗りを上げた。


 彼の名は『カツメ・ジロウ』…本作品のエピソードに度々登場する人物である。


 彼は、指紋が改造される未来を予測して、それに対処すべく、ある研究をしていたのだ。


 それは、『臍紋へそもん』…通称『へそう』による個人の特定方法だった。


 指紋や虹彩と同様に、へそも人により全く異なる為、個人を特定するには打って付けだったのだ。


 この案は、犯罪者特定手段を急ぐ国家公安委員会を通じて、あらゆる警察組織に採用された。


 ジロウの研究が、初めて認められた瞬間だった。



 …ジロウの研究が認められたのは、文字通り、この瞬間だけだった。


 事件の現場で、わざわざ腹を出して『へそう』を残す犯罪者は皆無だったからだ。



 国家公安委員会、慌て過ぎ。


 ジロウ、馬鹿過ぎ。


 頭は、生きてるうちに使って欲しいものである。

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