第7話 最高の1日

 旅の最後にして、最高のツーリングだ。



 朝5時に目を覚ます。眠気はない。思っていたよりもぐっすり眠れたようだ。キャンプ場の近くに道路が通っているが、騒音なども気にならなかった。幸い、寝ている間に動物なども来なかったようだ。

 しかし、肘がかゆい。それも両肘だ。左ひじを見ると大量の虫刺され。5、6か所は刺されている。右ひじ周辺も同様。よく見ると左手も腫れている。この腫れ方はアブに刺されたようだ。ほかの箇所、足とか二の腕なんかは問題ない。確かに上半身だけ寝袋から出して寝たのだが、何故ここだけなのだ。蚊帳は閉まっている。そういえば、ハンモックのレビューで聞いたことがある。どうやら、ハンモックの薄い生地を貫通して虫に刺されることがあるらしい。暑いからといって、肩から上を寝袋から出して眠ったのがいけなかったらしい。次から気を付けよう。

 とりあえず、虫刺されを考え続けても仕方ないので、ハンモック中で朝食を食べる。昨日のうちに買っておいたコーヒーで一服。やはりハンモックは快適だ。外に出たくなくなる。そのまま30分ほどグダグダした。


 その後は撤収を始める。30分ほどで終了。簡単だ。道具をバイクに積み込み、出発。今日は福島へ行く。夜には大学の先輩と会う予定だ。

 朝の天気は曇り。まずは磐梯吾妻スカイラインへと向かう。走っているうちに天気が晴れる。ちょうど昼、国道4号を南下し、山のふもと到着。しかし、山の上に登るにつれ曇ってくる。

 磐梯吾妻スカイラインに着く。雲の中を走っている。それでも周囲は霧に覆われているわけではなく、風景が見える。火山活動で樹木の消えた山肌。むき出しの茶色い地面。その表面を雲が舞っている。時折、青空が見える。まるで終末みたいだ、と思う。

 浄土平へ出ると、空が晴れる。快晴の中、レストハウスにも寄らずに走り続ける。最高の気分だ。テンションは上がりまくり。時折すれ違うライダー達も楽しそうだ。積極的にヤエーが来る。楽しい。


 その後もレークライン、磐梯山ゴールドラインを走る。これで福島三大ラインを全て走った。気が付けば15時近い。あまりにも天気が良く、ろくに休憩も取らずに走り続けていた。ようやく望んでいたツーリングが出来た。

 道の駅ばんだいで喜多方ラーメンを食べる。その後は福島駅の東横イン。シャワーを浴びてから、待ち合わせに向かう。相手は大学時代のF先輩(男)。こんなご時世だが、せっかく近くに来たので、飲みに行こうと思う。一軒目は海鮮系、二軒目は馬刺し、その後は先輩の家にお邪魔する。しかし、そこから記憶がない。気が付いたらホテルのベッドで眠っていた。多分、昨日は楽しんだのだろう。(記憶がなくなってから、何があったかは聞かない。藪蛇になりかねないからだ。)


 こんなふうに長い旅の最後のツーリングは終わった。あとは高速で帰るだけ。特にドラマもないので、割愛しようと思う。

 楽しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る