第14話 ショッピングモールに行こう
母さんの作った昼食を食べながら父さんに車を出してもらえないか頼んでみると、快く了承の返事が返ってきた。せっかくなので母さんも一緒に行くとのことで、4人で車に乗り込む。水琴はお留守番だ。お友だちまで乗るスペースは乗用車には無いのだ。
京奈和道下の国道24号線――地元民には24号線バイパスと呼ばれている――を南に走って橿原市へ。
迷宮のように入り組んでいる駐車場をあっちこっちに移動してようやく空いているスペースを見つける。僕は再びメルにパーカーを着せた。フードを被せて変装ってほどでもないけど準備完了。
てっきり父さんと母さんはそれぞれの用事があるのかと思っていたら僕らに付いてくるようだ。ファストファッションのお店の前で僕と父さんが母さんに追い払われる。
「男どもはどこかで時間でも潰してなさい。女には女にしか分からない事情があるんだから」
「お母さん、くれぐれも」
「目立たないように、目立たないような服でしょ。分かってるわよ」
「お願いします」
まあ、水琴とか連れてきて若い子のセンスに合わせるとまた目立つことになりそうだから、母さんくらいに任せておくのがちょうどいいのかも知れないな。
「和也は見ておきたいものとかはないのか?」
「うーん、スポーツショップでダンベルとかプロテインを見ておきたいかな」
「お前、本当に変わったな。前ならゲームショップとか本屋で漫画だったろうに」
「自分を守るために始めた運動だけど、今は楽しんでやってるから大丈夫」
僕が苛められていたと言う話は当然母さんから伝わっているだろう。僕が体を鍛えようとするのは自然なことのはずだ。
「勉強もちゃんとやっているようだし、父さんから言うことは何も無いな」
そういうわけでショッピングモール内を移動してスポーツショップへ。ダンベルが置いてあるコーナーで色々持ち上げてみる。いま使っているショートソードに一番重さが近いのは2kgのダンベルだろうか。でも2kgなら2リットルのペットボトルに水を入れりゃいいじゃんって話になる。3kgか5kgか。
今後レベルが上がって筋力の値に底上げが入ることも考慮して5kgのダンベルのセットをカゴに入れる。それからプロテインだ。うへぇ、結構いいお値段するもんなんだな。ダンベルよりお高いぞ。
「父さんが考えるにプロテインはドラッグストアのほうが安いんじゃないかな?」
「ドラッグストアにもプロテイン置いてあるんだ」
「まあ、ここのドラッグストアはどうかしらないが」
「どうせあっちは時間がかかるし行ってみよう」
ダンベルだけを購入して、1階のドラッグストアに移動する。思っていたよりダンベルを持って運ぶのが辛い。持ち手のある箱に入っているのはいいが、2個セットなので片手に10kgの負荷がかかる。
それでもまあ持ち手を変えたりしながら誤魔化しつつドラッグストアの店内をプロテインを探して歩く。……あった。本当だ。こっちのほうが安い。とりあえず筋力増加を目的としたプロテインを1kg購入する。
「1度車に置きに行くか」
「そうだね」
僕らは車に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます